なんで俺はまた、迫られてんのかなぁ…。
というのを朝、ひとことで呟くとこうだ。
「また…?」
「…うっせぇよ」
十織さんが、俺にまたがって、俺のスウェット下ろしてる時点でなんというか。
非常にどうしていいかわからない心境だ。
だって、朝だよ。
生理現象がこんにちはー!してたりする状況だよ、そりゃまぁ。
ねぇ?
そこに大好きな恋人、肉体関係アリがいたら。
しかも、その気満々なら。
頂きます。
だよね。
でも、それが毎朝ともなると。
「お盛ん、ですね…」
朝の生理現象も元気なくなりますよ。
事の発端はなんだったかなー…良平との会話だったと思う。
どれくらいの周期でどれほどことをなしているか。とか、そういう、酒のつまみ程度に話したお話からで。
良平は気分によってムラがあるけど、ここ最近は三日に一回は。とのことで、へーイイネ。俺んとこ、二週間にあるかないかくらい。っていったのがよくなかった。
聞いてたんだよね。意外とそういうの気にしちゃう恋人が、聞いてたんだよね。
毎日毎日研究に明け暮れてる恋人は、派遣の仕事でもない限り、俺なんて放置気味で昼夜逆転。朝、ベッドに潜り込んできて、オハヨウとオヤスミをかねてキスをおざなりにする程度で、なんか研究に行き詰ってどうにもならなくなったときに俺とギシギシするわけで。
人に八つ当たりというか、他所に避ける行為ってのを好まない恋人とは、まぁ、とても清く正しくなれてしまうわけで。
まだ若いんだし。とは思うものの、俺もそれなりに忙しくて。
疲れてたらたたないし、飲んだくれてもたたないから、それなりにコントロールしてたんだけど。ほら。
やっぱり恋人と肌触れ合いたいのは仕方ない。
しかも、すんごい片想いでもう絶望的だった人が手に入ったら、そらもう、ずっといちゃいちゃして、片時もはなれたくない。
…しかしながら、嫌われるのもいやだし。大事にしたいのももちろんあって。
だから、今の状態に不満はないんだ。なかったんだ。意外と、自分のことどうでもいいみたいな傾向もある人だったから、その世話焼くのもけっこう好きだから。
でも、恋人、十織はある意味すごく、気にする人だった。
何って相手のことを。
「…羨ましいっつってただろうが」
「いやでも、毎日でなくとも」
「うるせぇ」
で、毎朝頑張ってくれたおかげですっかり元気ない俺の息子を元気にさせる方法も、十織さんはよく知っておいでで。
するりと手で一撫でして、双丘に摺り寄せられる。
いや、俺も若いなー。簡単だなぁ。
「…俺だって、おまえが、ほしい」
はい、負けました。
何これ可愛い。
いや、もうなんていうか。
意外と俺よりその…十織のが、性的にはすごいわけなんだ。俺の方が淡白というか。
一度火がつくと長いんだけど、朝だから。
満足できるほどできないんだよなぁ。
おかげで毎朝挑まれてるかんじもなくはない。
「今晩は?」
「ん…今晩も」
「はいはい。じゃあ、ちょっとだけやで」
「…もっと」
「いや、仕事あるし」
「…」

「と、まぁ、遅刻か、この絶倫野郎」
「いやいやいや、やって、あかんていうても離してくれいで、ほら、かわいいやん?」
「かわいくても、放置しろ、あのように」
「あれはかわいいて放置しとるわけやないやろ」
正直、青磁がかわいそうです。