「ヤるのか?」
「当たり前だ」
ベルトは革だ。濡れてしまったら多少膨張して外しにくくても、まだましである。
古城がしたいと思っていることを成すのに、弊害が出るのはベルトよりも、ジーンズや下着だろう。
なかなかジーンズのボタンが外れず舌打ちをされた。
「なんで、少々舐めるくらいで邪魔されんだよ」
「自業自得」
ようやくボタンは外れたが、ジッパーもおろしにくいらしい。舌打ちが再び聞こえた。
俺はされるがまま、ただ古城の姿を見る。
外に出ることもあまりなければ、焼けることも難しそうな青白い肌が、湯で温まって、少し健康そうに見えた。背中は筋と骨が出っ張って、不気味にも見える。舌打ちをするたび、背中が動くので、それが少し面白い。
「古城」
「ア?」
悪戯しているときより不機嫌そうな古城が、ようやく目的のものを取り出したというのに、俺に声をかけられ、これもまた、不機嫌そうに声をあげた。
「さみぃんだけど」
「今から熱くなるから邪魔すんな」
「熱くしてくれんの?」
「なんねぇとコロス」
「腹上死でも勘弁」
先端を舌で濡らされながら、声に出して笑ってやると、口の中に進入させられた。
「だまってろ」
古城は俺のものを舐めるのが好きらしい。
俺に挿れるときも、挿れられるときも、大抵俺のものを舐めたがる。
今日はどういうつもりで舐めているのかを図るべく、一度腰を動かしてみると、古城がこちらを見上げてきた。
「期待されてる?」
俺のものから離れていく口は、満足していないのか少し糸をひく。
「……てめぇはしねぇのかよ」
足で、古城のそれを軽く踏むと、眉間の皺が増えた。
「誘ってみろよ」
古城はそれを得意としない。
駆け引きするより襲い掛かってしまう事のほうが得意だ。
「此処までされて動じねぇ、猫もふてぶてしくて腹立つわ」
結局俺は、古城に襲われる。
古城は誘いもしないで、無理矢理俺を風呂に入れてくれた。
湯の中でもたもたしていると、そこに跨って、古城は不愉快そうに俺のもので自慰行為をはじめる。その様は、何がなんでもそうしてやるという意地を感じさせた。
「古城」
「……」
不愉快なのと不機嫌なのとが混ざった、大変怖い顔で、こちらを見たが、返事はしてくれない。
「蓮」
「……んだよ」
「動きづらいから、とりあえずイかせるぞ」
何か言おうとした古城を無視して、今度はこちらの都合で動く。
湯の中であるため、布が絡み付いて重たい上に抵抗されるが、古城を動かすこと自体は楽だ。体勢を変えて、摩り付けられていたものを一緒に握ると、扱く。
「蓮?」
珍しく、いやに大人しく、しかも切なそうな顔をされてしまい、首を傾げる。
「……浮気、でも、しとけばよかった……っ」
「そこで寂しかったって言ってみろよ」
切なそうな顔で憎まれ口を叩かれては、こちらがたまらない。
湯の抵抗も忘れて腰を動かす。
「言う、より、先にッ、実行」
いかにも古城らしい。
それならば、この顔はいったいどうしたことなんだと聞く前に、古城は答えた。
「俺は、てめぇが、ほしんだよ……ッ!」
「こんなんより中に欲しいって……?」
黙れと言う代わりに、喉仏に噛みつかれる。
こんな目立つところを噛み付くのは止めてもらいたいものだ。
「……さっさ、と、襲っとけば、よかった……!」
まったく怖い男だ。