講堂の放送室。俺は風紀委員長と講堂内を見下ろし、料理をくっていた。
「会長が探してるらしいぜ」
「無理だっつうの。なんで、今日に限ってあんな服着てやがんだよ。もう、マジ、俺、どうしたらいいかわかんねぇよ」
「考えるより慣れだって言うぜ」
「慣れねぇから、こうなってるんだっつうの」
ほんのり顔を赤く染めた風紀委員長は、確かにいつまでたっても慣れない。
こんな調子であの、告白劇をよくぞやってのけたと俺は一年ほど昔を思い出す。
その時も新歓が行われていて、会長が近づくたびに真っ赤になっていなくなる風紀委員長は会長に探されていた。
今日こそは俺を避ける理由を問いただしてやる。そう言って探していたのだ。
生徒会は近年稀に見る仲の良さであったし、当然、今のように放送で呼び出しまでされたのだ。
誰も風紀委員長を見つけられないまま時間は進み、結局…。
「堅也!」
こうして会長に見つかった。
そして、俺は今、死ぬほどフェードアウトしたい。
「せっかく付き合ってるのに、どうしてそう逃げるんだ!」
会長も解っている。
風紀委員長がとんでもない照れ屋であるからということを知っている。
しかし、言いたくもなるのだろう。
だが、風紀委員長も言いたいだろう。
「じゃあ!そういう格好すんのマジやめろ!なんの誘惑だよ!」
「それは、夜のお誘」
「堂々とすんじゃねーよばか!心臓もたねーよ!」
風紀委員長は追い込まれるといつもこうだ。
しかし、夜のお誘いだったのか。俺は馬に蹴られてしにたい気分だ。
「だって、もう一ヶ月くらいご無沙汰で」
高校生らしく右手の親友と仲良くしていろよ。
「わかった、わかったから!夜這いでも何でも行くから!これでもまけ!」
と言って風紀委員長が渡したのはギャルソンエプロン。
風紀委員長の本日のコスプレはギャルソン。
「見苦しかったか?」
「ちっげーよ!見てて動けねぇほど…くそ、ほかのやつ、誘惑してんなよ」
このバカップルが…!
糞が…!!



おわり。

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