「で、怒っってたのか?」
「愛機をあんなにされたら怒るにきまっとうやん?」
「マニアってやつは怖いな」
楽しそうに笑う一織は、戦闘時、本気を出していなかった。
本当のところ、なれない靴を履いていても、俺なんて瞬殺できる実力を一織は持っている。
「負けてくれてありがとうな」
「あれだけ怒っていたらな?しかし、怒ったのは一瞬だったんだな」
「なんや戦闘終わったら、バカバカしいなってしもてん。しかも、あそこまでやるんやったら、別のモノ用意してくれとったら、なんも怒らんかったのにとか、ちょっと思てしもて」
「お前も、エンターテイナーだな」
俺の部屋でくつろぐ一織は相変わらずひどい格好だ。
俺も衣装がなおっていない。
「ところで、そんなとこにピアスついとったん?」
「ああ…位置はちょっと違うんだが、文句言ったらこうなっていた」
「お仕事細かいやっちゃなぁ…」
どうやら、今回の戦闘について、文句しかないようで、仮装はそのままだった。
明日にはどうにかなっていることを期待したい。
「まぁ、戦闘して晒してもうたら、明日には直っとうやろうけどね…」
同じ格好では変装がバレて大変なことになってしまうためだ。
「なんなら、今度みせようか、ヘソピ。ベッドの上で」
「……やめてくれへん?その進軍。今日はなんや疲れとうから」
しばらく、一織が腹を抱えて笑っていた。
くそ、誰だ、あれを爽やかな副会長とかいったのは!