ナマケモノの遊び


正直、たるくてどうでもいい。
気がつくと、周りは『不良』と言われるやつらばかり、馬鹿やって騒いで喧嘩して。 そういうのも別に嫌いじゃねぇし、まぁいいかと思っていた。
ある時、騒いでた一人がチームを作るといって、作って、のりでアミダして、結局俺がリーダーに担ぎ上げられて。無駄に納得してる連中差し置いて、やっぱたりぃなって思っていた。
さらにあるとき、喧嘩がやたら強ぇって噂の奴とあって、そいつが結構面白くて、気がついたらツレ、みたいになってきて。
そいつが高校も行くっつーから、じゃあ、行っておこうか。くらいの興味で進学。
別に頭もわるかねぇえし、やるんなら徹底したいのが俺の主義。
近所の高校に難なく入学。問題はねぇえ。 まぁ、でも、学校生活はそれなりに退屈で、それでも面白れぇことあるって言われて、なんとなく来ていた。
それで、今。
確かに面白れぇことがあった。
「七分だな」
五秒で屋上から一階まで茶なんて買えるわけねぇえし、本人もわかってるんだが、そんな理不尽なことも突っ込みたそうにしながら、なにも言わずに、びくっとふるえて走って階段を下りていく。
まあ、おびえているなら普通の反応だ。
時間がかかったことに、言い訳いいたそうな顔しながら、此処まで走ってきた疲れで文句一つ言えねぇえのも、まぁ、普通。
七分っていって、にらみつけてやると、びびんのも普通。
至って普通。
普通すぎるというか、そのビビりようが、オーバーリアクションで面白い。
気にしないように気にしないようにしているのに、気にしすぎている様は本当に面白い。
慣れてきてちょっと失敗するところもいかにも普通なのに、その立ち直りのはやさと、がっかりした様子は普通じゃない。
俺の周りにはいねぇえタイプ。
まず、普通の奴は、俺に近よらねぇえし。いくら、ツレに懐いていたとしても、俺には目を向けもしない。
気にしすぎたあまり、俺を見てしまうところがあまりにも残念。そしてそれにきがつかねぇえ。
みてるだけで飽きねぇえし、いちいちビクビクする様子は小動物にそっくり。
まぁ、そんな可愛い野郎じゃねえけど。
強がろうとして強がり切れないところも気に入っているし、すぐ心が折れたという顔をするのも気に入っている。
身体の相性も割といいほうだし、何度ヤっても顔を変える様子は手馴れたやつと違ってやはり面白い。
しばらくは遊べそうだ。
と呟くと、ツレが嫌そうな顔をした。
理由があるのは知っているが、あえて、ここでは無視をする。
別に誰の許可が要るわけでもない。
しいて言うなら本人の許可か?
まぁ、とってはいる。一応な。




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