正直ネイティブスピーカー


「ほんで。どない?」
いきなり話ふられるとワケ解りません。
というか閣下。また関西弁ですよ、閣下。
ちょっと、なんとなく聞きたいことはわかるけど、俺、関西ネイティブスピーカーじゃないから、わかりづらいよ、閣下。
「ええと、雄成さん」
「なん?」
「この前から、言葉の勉強的な標準語は何処にいったんですか」
「あー…めんどうなった」
なん…だ…と…!?
言葉の勉強が面倒くさいとか!!飽きたとかそういうレベルなんですか!?FA!!
「お前、ビビりのチキンやし。俺が不良、蹴たくった挙句、訛りまくっとったら、イコール不良って思うやろ?まぁ、俺も。誰も俺を知らんとこでフツーに生活したかったし?あっこがれのフツーのお友達とか作ってみたかったし?最初からなまっとってもよかってんけど、なんや、田舎からきよってって馬鹿にされんの癪やし…まぁ、色々あんねやから気にせんと。ほんで、俺のことは、とりあえず、置いといて」
え、長々説明した挙句、置いておくんですか!?謎が多いです、雄成閣下!
「どないなん?なんか、最近アレやで。アキラ」
「ぐおおおおお!今俺の前でその名前を呼ぶな!!」
つか、明らかに呼び捨て的なものではありませんでしたか!?おそろしいというか羨ましいというか恐ろしい!!
もうね。アキラ氏はたぶん、恐怖の大魔王かなんかなんですよ。
最近、本当、富に思います。
俺の至って普通で至ってのんびりな高校生ライフを終わらせるためにやってきた魔王なんだきっとな!
なんだよ、世紀末に来とけよ馬鹿やろう!!!
なんかもう、毎日、生きた心地しねぇよ!
だって隣なんだぜ!なんちゅーか隣なんだぜ!不良の癖にここんとこ毎日学校来てるし!そのくせ寝てるし!なのに起きたら俺を確保するし!ちゃっかり昼飯は一緒だし!最近ぱしられなくなったけど、意味なく驚かすのは毎回のことだし!
毎回ビビるし俺!いちいちビビるし俺!
けど、そのあと、アキラ氏が笑うから、なんかもう、本当!毎日何かに悶々としてますよ。
俺がすきなのは女の子、俺がすきなのは女の子…って唱えることも少なくなくなってきた! 認めろとか、認めません!!
「サクヤ解りやすいわー…からかいたくもなるわなぁ…。ちゅーか、見てるこっちがイライラするくらいになってきたし。なんなん?くっつくんなら、はよ、くっつきィや」
心友の声も聞こえないくらい、俺は童謡。
もうさ、なんかもう、アキラ氏。
ホント大魔王。
「サクヤーおーい。…あかんわ。遠いとこいってもたわ」
もうほんとさー、ちょっとだけ認めます。
ドキドキしてます!俺!ドキドキしてます!!
たぶん、あれだよな!
前もいったけど、つり橋効果的な?
だから、ほとぼりが冷めたら、ぜんぜん平気的な?
うん!平気な気がしてきた!
よし!アキラ氏を避けよう!隣の席だけど!見ない聞かない、触らない!
で、逃げるんだ!!
怖くても逃げるんだ!!!
だって、俺、一生チェリーとかまじないし!!
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