明日へ贈るコンチェルト


なんというか、すげー親しい友人…俺の場合だと、心友あたりから。
紆余曲折しましたが、結婚しました☆
みたいな、結婚式の写真付のハガキがきた状態。
俺はそれ見た瞬間、呆然とするだろうし、とりあえず電話してヒデェ!何時の間に!って一通り罵った後、おめでとうっていうだろ。
とりあえず喜ばしいけど、どうして呼んでくれなかったの?って状態。ま、いきなり子供できたって年賀状がくるよりは全然いいと思うよ。でも、まって、俺、心友じゃないの?呼んでくれないの?ねえ?っていう遺憾がのこるってーの?
ああいう感じ。
突きつけられた携帯の録音。
俺の声だ。
つか、そんなののこさないでぇぇええええぇぇえぇ!!
意味解らん。まじ、意味解らん。
携帯の録音が残ってることも解らんけど、何より俺は酔っているとはいえなんと大それた…というか、俺、アキラ氏やっちゃったの?
記憶がない。例の二日酔いの日のことらしいが、なぁ、俺、やっちゃったの?覚えてない。もったいない。
てか、コレが告白とか、マジで酷くないですか。
消して欲しい。そして俺、今すぐ消えたい恥ずかしい。
「や、その…合成…」
「解らないようなら、このままヤるか」
顔が見れないのはいつもの事ですが。
どうどうと、はっきりと、そうおっしゃるのはやめてください。
そんで、今。何度目ですか。
また押し倒されてる、何かいつも通りの放課後です。
たーすーけーてー犯されるー??
「テメェに既成事実を作ってもらう」
あ、違った、犯させられる?わからん。とにかく、俺ピンチ?
いや、これ、ピンチじゃないんじゃ…どっちなの?
とにかく青姦とか望んでません!ロマンチストですから、俺!ふぁっきゅーとかいっちゃったらしいけど!やらせてとかいっちゃったらしいけど!
って、ふぎゃぁ!どこ触ってんの、どこ!?
ひぃー!デジャブ!激しくデジャブ!でも、俺、もう気持ちいーの知ってるし!しかも、好きな子にやられたらそりゃもう、はじける若さだよ!!
たーすーけーてーぇ!なんどもいうけど、ロマンチストなんだよ!俺は!
いくら、気持ちいくっても、告白最低でも!
「なぁ」
エロい。どっから出るんだ、そのエロボイス!俺死んじゃう!主に息子的なものが元気になって、すたんばっちゃう現状に!!
「サクヤ」
エロい上に甘いとか、なんのテク!?必中なの?必中だろ!?身体の上にのられているから誤魔化しなんてきくわけないだろ!息子黙れ!
「……好きだ」
耳元で呟かれた言葉に、数秒置いて顔を上げると、何処触ってんの?の手は腹の上。開放されかけた制服のズボンはそのまま。見つめた顔は俺の耳元からとっくに離れて、別の方向。…耳が赤い。
これもなかなか最低な告白だ。ロマンチックは行方不明。
あ、ヤバイ。息子暴走だコレ。
「だから」
振り向かれて、かち合った視線が妙に気恥ずかしい。
「…いいだろ?」
よかねーよって言えないくらい、息子は臨戦状態。
わー神様…もう、なんというか、俺はロマンチストとか嘘でいいですとか思ってた。
俺は思ってた。
皆さん知っていますか。
二度あることは、三度ある。
どん!がさっ!
って音がして、いいかんじに生えてる木を抜けて…まぁ、いつも通り心の友が現れた…。
なんというか、今までが今までだっただけに、とても複雑な、俺。
「………あー、…んー…すまん、心友」
心友の後に現れるのはいつも京一さんです。
「あ、お邪魔様」
心友を連れて、回れ右する京一さん。
ごゆっくり〜なんて手を振ってさっていく心友。
一瞬にして萎え萎えとか俺の息子はとっても気分屋。
「……」
どうやら、アキラ様も萎えた様子で。
無言で俺から退いてくれたけれど。
不機嫌そうに立ち上がる姿に、俺はどうすべきなのかわからずとりあえず衣類を整えた。
ああ、うん。不機嫌なアキラ様、ちょーこえーけど。ちょっと。ほんのちょっとですが。
かわいいなーとか、もう、俺終わってる。
だって、前ならそのままどっか行っちゃってただろうし。立ち上がるだけで、何処にもいかないとか。ほんとさ、その、俺、愛されてる感じ?
俺、逃げ足だけは自信がある。
ほんと、情けないし、どうしようもないけど。もう、ほんとまた消えたくなるくらい恥ずかしいだろうから、俺は走る準備をする。
「…俺も、すき、です」
アキラ氏が驚いて振り返る。
俺は走る。陸上部真っ青な、スタートダッシュ。
アキラ氏が追いかけてくるかどうかは知らん。
どうせ、また、席は隣なんだから、明日にでもちょっと話そう。
今日はとりあえず、許してください!
「…覚悟しとけ」
アキラ氏が聞き覚えのある言葉を俺に言った。
遠くから、言った。
でも、走る俺にも聞こえた。
たまには、強気に出てみる。
お前こそ!!



おわり。

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