それで充分だ。


ラブレターなんだから、好きだって、書いちゃえばいいんだろうか。
それとも、なんかこう、どうして好きかとか。
詩人的な…うわああああ恥かしい!恥かしいぞ、かわかみさくやじゅうななさい!
え、だって、もう、好きだから好きなんですっていったら、もう精一杯じゃないですか。だめですか。そうですか。もっと愛を囁けと…!
でも、俺だって、男の端くれですよ。自称ロマンチストですよ!
なんとか、ラブレターくらい、書いてやろうじゃないとおもうんだけど。
だけど。
「真っ白だよね…」
思わず呟くくらい真っ白。
だいたいさー便箋かってくるのも恥かしいっていうの?
だって、コンビニにある奴とか味気なくない?
したら、文房具屋とかいったら、ほら、女の子向けっていうの?やったら、華やかだったりするじゃん。
ハードル高いってー…。
じゃあさ、ホームセンターとかいくでしょ。
なんか人の目が気になってだね。
ていうか、レジにいくならどこも一緒って言うかね。
結局ルーズリーフとかレポート用紙とか買ってきちゃうわけね。
パニクって原稿用紙買ってきちゃったりもしちゃったけどね!
はっは。
俺のアキラが好きなとこ。二年二組かわかみあきら ってか!
わーい。感想文だね。最近のラブレターの主流だよって、嘘だばかやろう!
わーん文字が、文字が埋まりません。ううう。
好きだ、じゃいけないんですか。
ロマンチスト名折れでもいいからさー。
なんで愛って、表現方法がたくさんあるの。
うううう。
そんなに悩んでたら、アキラさんから電話ですよ。
俺はまぁ、パニクって、電話にでんわーなんつってー。
………さぶッ。
「…はい」
『三秒で来い』
「はい!…無理です」
『来い』
「いやいや、三秒は、その…無理、で…」
『会いたいから早く』
…きゅん。
『なぁ』
くっそう、なんだ、このタラシは。でも、三秒は無理です、アキラさま。
『サクヤ…』
く。
負け…負けな…
『サクヤ』
負けたーぁぁあ!!
アキラさん、ほんと、無理です。三秒は無理です。正直もう、三秒以上たってます。
でもさ、会いにいくよ。
「…行く」
『早くな』
「ん」
頷いて、電話切って。
あーなんか、好きとしかかいてないけど。
あと二つ、大事だから書かなければ。
好きです。
愛しています。
貴方が、大好きです。
今の、俺は、これをもっていくだけで、精一杯です。
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