タスクはあまり、しつこい性質ではない。
それは性的な行為にも適用されていた。
それと同時にタスクの寝起きの行動は、判断が甘いということと、何かが切れてしまうと普段はしないようなことをしてしまうのも適用され、アオがタスクの下で喘ぎはしないまでも息を切らせているところで正気に戻ったタスクに衝撃を与えた。
これはなんの冗談だと言えない状況下で、動くことをやめたものの、アオと繋がったまま、どちらもいかんともしがたい下半身の事情を抱えた状態で、タスクは唸る。
「……ッ、まき、せ……?」
顔を背けていたアオが、動きが止まってさらに唸りだしたタスクを見て、不思議そうに声を上げた。
その声も、顔も、熱に浮かされたような、少しぼんやりとした、いつもと違って鋭さがまったくない様子は、普段と比較すれば可愛いといえたかもしれない。
しかし、タスクにとって、それどころではない事態で、アオの様子など観察している場合でもなかった。
「……宗崎」
あまりのことに少し萎えてしまったが、それでも気持ちいいと思っている自分自身の下半身の馬鹿さ加減に舌打ちしたい気分を堪え、タスクは続けようとした。
どうしてこうなったのかとか、抵抗しろよだとか色々言いたいことはあったが、口を開こうとすると先ほどまでどのようにしてこの行為にいそしんでいたかを思い出してしまい、タスクは口を噤む。
抵抗らしい抵抗を受けなかったのをいいことに、まず最初にローテーブルの下に転がっていた生徒からの没収品を使用した。いきなりそこを刺激しても逃げられるだけだろうと、アオのものに垂らし、温めるように擦り付けた。
何もないときに使用されれば不愉快なぬめりは、直接触られて擦られる事で快感にしかならない。
下品といわれるような音さえも、耳を犯す。身体が素直に反応し、アオのものが勃起する頃には冷たかった液体も、すっかり温み、当初つけた場所よりも下へと垂れている。
指でそこを撫でたのは、アオがいく寸前だった。
「なん、ちょ、ま……ッ」
覚悟を決めたとはいえ、やはり初めてのことであったし、男としての何かが反応し、アオが声を上げてもタスクはお構いなしだ。
半端に脱がしたズボンなどが邪魔で、タスクはそれを足でずり下げながら、一本指を入れてみる。
タスクの指はすんなりとは入らなかった。
「やっぱ、無理か」
「む、無理じゃねぇよ……!」
こんなときにアオは負けず嫌いを発揮した。
あまり時間をかけることをよしとしなかったタスクが離れないように、アオは時間をかけてほぐす代わりに、タスクのものを準備するという提案をした。初めての上にそんな予定もなかったというのに、どうしてこんなことをしているのだろうとアオこそ聞きたかったに違いない。
振り返れば振り返るほど、なるようにしてなったというにはあまりにも、タスク自身の蛮行が過ぎる。
「まさか、あやまったり、しねぇ……よな」
息を整えつつも言葉を零すアオは、いつの間にかいつも通りの鋭さで、タスクを見上げていた。
「おれは、したいようにしか、しねぇよ」
同意の上でやったんだから、謝られたら憐れだろうと笑うアオは、すっかり離れていた手をもう一度タスクに回した。
「なぁ、もっと……」
初めてのせいか、言うほどに良くはないのか少しぎこちないが腰をわざと動かすアオに、タスクはいつも通りため息をつく。
「……男前だな」
仕草自体はまるで快感を覚えた雌のようなものであったが、言っていることはその一言につきた。
「ならもっと、よくしてやるよ」
「……おてやわらかに」



結局、なんのいい訳も出来ないくらい楽しんで、風紀委員室のいつものソファの上で、眠りながらも寒さににじり寄ってくるアオを尻目に、タスクは思う。
「こんなこともあるか」
こんなことが、あと数度あるとタスクは思いもしなかった。
それはまだアオが告白をする前で、タスクがまだ風紀委員長だった頃の話である。
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