なんだか、首元が寒い。
寝込みを襲われ、俺はあくびを噛み殺しながら思った。
「おはようのきすは?」
「……いるのか?」
古城が、寝起きの俺を鼻で笑う。そんなものは習慣化されても鬱陶しい。たまに冗談にするくらいが調度いい。
「おれはねたい」
「奇遇だな、俺もねてぇ」
「……そっちじゃねぇ」
俺の首が噛み付かれ、吸われた後、柔らかく、濡れた感触が首を這う。
特に抵抗もしないまま、背中に腕を回し、腰のあたりを撫でる。古城の体温はいつもより熱いように感じた。
「きすひとつでおきてやろうっていうんだから、かんたんだろ」
「キス一つで、起きて、ヤろうか?起きなくても、できる」
「ねてるおれにどうこうすんのかよ」
古城の背中をそのまま撫でていると、古城が今度は耳に噛み付いてきた。
「どっちかが使えりゃ問題ない」
「やらし」
ため息をついてやると古城の舌打ちが耳に飛び込んできた。
「お前は坊さんかなんかか?禁欲してんのか?お預けすんのもいい加減にしろよ」
互いに忙しければ忘れていることだが、たまに気がついたときに、こうして古城が襲いにくる。
「んー……おまえ、どこさわってんの」
「ご本人が起きないから、息子さんに起きてもらおうかと思って」
「おれよりねおきいいもんな……」
触られたら、久しぶりの解禁だ。普通に気持ちがいい。少しずつ眠気が遠のいてしまっているのを感じつつ、俺は背中を撫でていた手を止め、もう片方の手で、古城の腰を撫でた後、尻を撫でる。
「人のケツ撫でながら、下ネタ言えるんなら、起きろよ」
「ねててもすきにするんだろ」
「起きてる方が気持ちいいに決まってんだろ」
俺がグズグズしている間にも、古城は手際よく俺の息子を起こしにかかる。
パンツの中に手を突っ込み、形を確かめるように握る。
「そんなにやらしいにぎりかたされたら、おきる」
「だから、起きろ」
しぶしぶ瞼を開け、古城の首に唇を押し付けると、古城が笑った気配がした。
「起きたか」
「……半分」
「半分かよ」
足を動かして古城の息子を確認すると、しっかり勃起している。
「抜けめねぇな」
「起こす前に一回抜いた」
「俺の寝顔見てか?」
「んなわけあるか。風呂でやったに決まってる」
通りで首元が冷たく、古城が熱いはずだ。
「ああ、でも、前のやつおかずに抜いたな」
「どっちが喘いでいた?」
少しの間、古城が俺の息子を弄ぶことに集中した。
「古城」
「忘れた」
「……ああ、お前が喘いでたのか」
「喘がねぇ」
確かに古城は喘がない。どちらかといえば呻く方だ。
たまに吐くため息が、熱くてエロい。
「てめぇが笑って、俺の指食ってた」
「……物食ってるのエロいつうから、食ってやったのに」
「あれはクる。だから、今日は、食え」
漸く起きた俺は、古城をぺろりと頂いた。
頂いたのは俺だというのに、翌日疲れているのは俺だというのはどういうことなのだろう。
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