さっちゃんは、食堂から何もたべずに俺についてきた。
うううん。なんか苛立つ。なにこれ、すごい苛立つ。
「さっちゃんなぁに?」
「……」
泣きそうな顔でこちらを見てくる。
本当に苛立つ。こんなん虐めてもストレスにしかならない。
「あー…わかったわかった。俺がおかしいのね?変なのね?冷たかった?ごめんねぇ。それで?泣きそうなの?頭撫でとけばいい?」
おざなりってこれのこと。
正直、面倒。なんで、ご機嫌とらなきゃいけないの?さっちゃんだけど、こんなの、さっちゃんじゃないでしょ?
ありえないけどさーパラレルワールドとか行ってるんじゃないの?だって、こんなのさっちゃんじゃないんだもの。
さっちゃんだったらさー泣きそうなの見ると、かわいいって思うし?いつもなら、この程度のことで追い込まれたりしないというか、ここまで追い込まれる原因すらつくらない。いつもなら、俺が起きてるの見て、嫌そうな顔つくったあと、ちょっと嬉しそうな顔して、俺が着替えてるのお構いなしで抱きついたあと、さっさと着替えにいって、俺が食堂に行くのについてくるし。
ちゃっかり隣座って、ご飯食べて、一緒に食堂でて…それだけなんだけど。
なんで、それが、こうなの?
今だって、おざなりな俺に泣きそう。
これ、本気で違うと思うんだけど。
「ねぇ、さっちゃん」
「…」
「さっちゃんじゃないよねぇ…」
あちらも、なにか、思うところがあるようだ。
首を横にふったものの、俺のほうを怪しいとおもっているみたいだ。
なるほど。
どっちも違和感を覚えている。と。
「こういう場合はあれよね。…寝たら、治る」
そして、俺はさっちゃんとわかれて、自室で再び眠りについた。



寝て起きて、居間にいってもさっちゃんはいなかった。
まぁ、いいけどさー…と、テレビをみていると、さっちゃんがやってきた。
俺の名前を呼んで、抱きついてきた。
あ、さっちゃんだ。と思っていると、俺の名前をもう一度呼んだので、いつも通りきいてみると、さらに連呼され、ぎゅーぎゅーと抱き締められた。
嬉しくてなんていうんだよ。かわいいよねぇ?
だって、さっちゃん、ちゃんと意思表示するし。
抱きついてくるし。
あーさっちゃんだ。と思うと同時に、すごく、虐めたくなったわけだ。
性的に。
いやもう、なんというか。
あるよね、さっちゃんが泣きながら、『こうじ、も、むり』とか、『もっと』っていってくれるまで攻めたてたいとか。
あんなすぐ、泣きそうな顔するさっちゃんじゃ、気分すら盛り上がらないだろうけど。
今日は幸いにもお休みだし。






おまけ
「……」
「どしたの、さっちゃん」
「携帯、気持ち悪い」
「は?…わお、これ、合成」
「これだけ、なおってない」
「絶対俺じゃないよねーこれって。うわー気持ち悪い。あれ?そう思えば俺の携帯とかどうなんだろ」
「……」
「…携帯俺の部屋にないんだけど…ちょっと、さっちゃん鳴らして」
「…」
「…どうしてこの部屋から音するの?ここさっちゃんの部屋よねぇ」
「……」
「ふは。さっちゃん超笑顔の画像じゃん。なんで?待ち受けにした覚えない。わお。なにこれ、なんでさっちゃん笑顔ばっかりなの?こないだのエッロイ画像もないよ?」
「まだ、消して、なかった…?」
「だって、さっちゃんかわいいんだもの。だいたい俺のさっちゃん画像って眉間に皺よせてるよねーコレはコレで貴重な笑顔なのかもだけど、違和感…。ああ、そうだ、せっかくだし、今から写真とろうか」
「は?」
「おいで、さっちゃん。べったべたのカップルどりでいこう」
「は??」
「何、雰囲気でない?嬉しくない?仕方ないナァ。……皐、おいで。満足するまでキスしてやるから」
「……!」
「もう、さっちゃんてば簡単で可愛らしい」
「キスじゃ、足りない」
「あれー?昨日もたくさんしたじゃん。我儘さんめぇー」
「足りない」
「あは。これでこそさっちゃんよねぇ」