風紀委員会だよ!


少年は質問をした。
「なぁー…風紀委員ってどうやって決まるんだー?」
さっちゃんと、俺の寮の部屋でいつものように集まる風紀委員と篠原少年。
俺はいつものように面倒で、テレビを見る。
その隣で俺に持たれかかっているさっちょんも、自分の役割ではないと俺と一緒にテレビを見た。
水城と遼くんは二人でオセロをしていたから、答えるのは風紀委員の一人、きょうちゃんしか居なかった。
「殴り合いの喧嘩」
「え、マジで?」
それはないよ、少年。
俺は思いながらもチャンネルを変える。
この時間帯は面白い番組をやっていないようだ。
「んー。あんねー、風紀候補ってのを学園側が勝手に、内緒で探し出してー」
その辺は本当だ。
「その連中を集めて、トーナメントを行うんだよー。学園一武道会」
それは漫画かなんかのパクりだろ、お前。
しかし、少年は目をキラキラさせる。
「すげぇえ!」
いやいやいや、その事実まったくないですよ。
確かに集められて、ギャンギャンいう腕っ節の強い奴らに一斉テストさせるみたいですが。
「もうさ、出欠大サービスでいらっしゃ〜い!拳と拳のお話し合いでー。最終的に優勝した奴が風紀委員長になるわけ!」
や、なんねーよ。
最終的に成績上位者から吟味に吟味して委員長と副委員選ぶんだよ。それ以外は指名制だっけか。
だから、おまえ成績悪くても風紀委員だろうが。
さっちゃんも指名されて断った口らしいが、今なら恐らく成績上位者として吟味される立場にある。
一年のとき、俺と同じクラスにいながら、解るものだけ解答して、あとはさいころを振って、たまたま非常に運が良かったとかいう理由で成績優秀者のクラスにおり、クラス最下位だったのだが、俺が成績首位だと知った瞬間から夜遊びを控え、毎日毎日授業にちゃんと出て、休み時間まで猛勉強。
どうしても俺と一緒に居たかったとかいうから、やっぱり可愛い人だ。
ちなみに、水城は成績優秀で、風紀になるまでは優等生まで演じていて、風紀になってからばれたと言って羽目をはずしてしまい、遼くんはもともと馬鹿にされるのが大嫌いな人なので授業をサボっても死に物狂いで影勉をするようなやつだ。
きょうちゃんは勉強より遊ぶのがいい。という考えの持ち主なため、成績更に悪くなったら可愛そうだろ、指名してやるなよ。と思ったこともあったが、今はとりあえず補習を受けなければならないほど成績を落とすことがない。
どうも、風紀委員室でプライドの高い遼くんと、負けず嫌いな水城にスパルタされているらしい。それはそれでかわいそうだな。
おそらく、次回のテストでは総長少年も勉強机にくくりつけられることだろう。
総長少年の試験結果をみて、『総長…ひでぇ…』といっていたことを思い出す。
頑張れ少年。きょうちゃんを見て解るとおり、補習が免れる程度とったら机にくくりつけられることはきっとない。
ああ、なんかつらつら考えてたら、恋愛ハウツー番組に夢中になっていたさっちゃんがこっちを見ている。
「?」
「いや、さっちゃんたちの成績のことをちょっとね」
そういうと、さっちゃんは、総長少年ときょうちゃんをみて、ああ。と頷いた。
「恭治、勉強しない。総長、勉強嫌い。十夜、負けず嫌い。遼、努力家」
さっちゃん言葉は少ないながら適切。
「さっちゃんは?」
「俺?」
「そう」
「…面倒くさがり」
ああ。そうだよねー。解らないからって、考えないで、さいころ振っちゃったしねー。その上、俺に会うまでは好きな科目の授業出て、嫌いな科目は適当で、部活動停止にならない程度にテストやってたらしいしね。
「じゃあ、俺は?」
「………要領いい」
…さっちゃん本当に適切ね。
まぁ、そんなわけで一癖もふた癖も強い奴らが集まっちゃうわけなんだけどねー。
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