時期はずれの転校生は副会長の血の繋がらないご兄弟でした。
と、きいたら、あれだ。
少女漫画だな。と思わなければならないと思う。
一戦交えた後、ピロートークのかわりに告げられた言葉に唖然です。
ぶっちゃけます。
ぶっちゃけますよ。
王道なんだけど王道じゃないこの学園にやってきた、王道転校生攻になりそうな王道くんがやってきました。
例外なく、副会長に気に入られ、生徒会とも浅からぬ…というか随分仲良くなって、転校生のクラスの人気者とも仲良くなって、まぁ、平凡君とも仲良くて、しかも風紀委員とも仲良くなってるっぽいじゃない。
コレが計画犯としか言いようがないくらい、速やかかつ、計画的二ヶ月の間にじっくりなんだか早いんだかな感じで行われたわけですよ。
制裁？もちろんありました。
何せ王道です。
いじめ？…あったかもしれません。
でも、菊が供えられていたり、机がめちゃくちゃになったり、挙句、教科書がどうにかなったりとか、本気でありませんでした。
下駄箱は少々ゴミ箱になったり、転校生が水被ったりゴミ被ったりしましたが、教室内では平和なものでしたよ。
何故って、転校生、例のもっさりめがねルックでありながら、クラスをすぐさま掌握したというか。…とにかく、すぐにクラスに馴染んで、皆さんと仲良くなったからです。
一人で抵抗できなくても、大々的に抵抗できなくても、クラス皆がこっそり抵抗するくらいはできたらしいです。
その上、そんなことやってたのは極々一部の方々でした。
生徒会が親衛隊を云々という話はとりあえず置いておいて、なんというかまぁ…親衛隊自体、何か、こう…王道といわれるものとちがったから。
で、制裁にもどります。
そう、制裁もあったんですが、王道ですので。
転校生がうまいこと立ち回っちゃったりするわけです。
でも、この場合、喧嘩強いから自衛しました。的なものになるはずですね。なりませんでした。
それはもう、うまいこと。本当にうまいこと言い包めたのかもしれません。よくはわからないんですが。
とにかくその時のことは誰にも噂されないくらい秘匿されちゃってるんで、わかりません。
そんで、極めつけは、男前すぎる親衛隊隊長が現状に不満を抱き、決闘制度の走りをつくってしまいました。
っていうのが、現状です。
そんな状態なんです。
だから、ここにきて、王道じゃないことが一つや二つあったところで知ったこっちゃない。…んだけど。
「それで、今までのことを計画的にやってきた、と…」
会長もグルになって王道を絡めてみようとしたらしいです。
それで、これってどうなの？
ふりまわされる平凡君…てのもいなかったから、ふりまわされたのは親衛隊とかだよな…。
振り回される平凡君がいない理由？簡単です。王道転校生は王道…というのはもうよそうと思います。随分前から気づいていましたが、彼は王道の定義からかなり外れた存在だ。
とにかく、そんな転校生は人が見ているところで有名人に近づく際、細心の注意をはらい、それとなく平凡くんを遠ざけていたからです。うますぎてびっくりします。その際のお供はだいたい皐様でした。すげー妬ましかったですが、羨ましかったですが、すごく萌えました。ハゲ萌ました。俺の将来危ない。
とにもかくにも！振り回された人がかわいそうだと思わないのか！
って、副会長にいっても仕方ない。この人は可哀想とおもわないタイプなんだから。
「そう」
「……ひどくね？」
「自覚はある」
「いや、ま、決闘制度が出たお陰でちょっといい方向いってるとおもうけど」
「それもあって、会長が手伝った」
「あ、そのために手伝ったのか…」
娯楽もただじゃ終わらせないってかんじなのが、副会長らしい。
「で、だ。これ以上はどうしていいかわからんのだが？…だいたい交流会だのなんだので、話ってやつは続きになっていて…」
「あー…そうなんだよねー。登場キャラ多い分、終わらないんだよねー。そうするとそういうの気に入ってはいった人とか、いじってやろうとかする人も、そのへんまでの妄想はサクサクなんだけど、それ以降が遅くなっちゃうんだよねー。そうなると、同じところらへんでわだかまっちゃうというか…」
もうね、ばれてるし、きかれてるし。
それなら気持ちよく答えて、話したほうが、俺の精神衛生上もいいかなとおもいまして。
腐男子全開ですよ。
この先の展開を面白おかしく俺が脚色してストーリー仕立てにしても良かったんですがね！
「今まで通りで、あとは好きなようにして、見てたら勝手に進む…と思う」
「それもそうだな」
副会長はあっさりしたもんです。
押し倒されたときもそうでしたが、なんかもう、あっさりしすぎてことの重大性が見えません。
「あ、告白はマジだから」
マジなんだ？


まぁ、今となっては笑い話なんですがね。
あの頃、こうちゃんの話にのった連中は、皆それなりにそれぞれ思惑があって、さらに、こうちゃんはそれを知っていて、皆に話に乗ってもらうかわりに、手伝いとかもしてたみたいで。
今の学園の状況は変わるべくして変わったってかんじみたい。
振り回された人たちはいい迷惑だけどね。
まぁ、退学者もいませんでしたが。
大事にはならなかったようです。
あ、そうそう、最後に一つ。
副会長と俺がくっついちゃったのは周知の事実だとして。
今、俺の方が副会長のこと好きだと思うとか、バカップル乙！ですか？