野獣に猛獣4


「シマァ……ヤろうぜぇ」
嬉しそうに、うっとりとした顔で、股間を隠した連中を無視して俺に迫り、跨ぎ、すり寄って、熱っぽい息を漏らした実美に、喉を鳴らしてしまうのは仕方が無い。
いつものお気に入りの穴あきソファの上、ピンチだかチャンスだかわからない状況に混乱する暇も与えず、本能を揺さぶられる。
「実美がその気なら、やぶさかではないが」
だが、俺には実美に少々聞きたいことがあった。
「んー?」
犬のように俺の上で腰を揺らすわ、モノを当てるわで、大興奮な実美は、先ほどから周りに異常なほどのフェロモンを振りまいている。
俺は身体を起こし、実美の腰に腕を絡め、耳を噛む。
肩にかかった生ぬるい空気に、甘い声が混じった。
「なんかあったか?」
囁くように尋ね、腰を撫でると、満足げに声をあげ俺の首に口をつけたようだ。湿り気を帯びた暖かく、比較的に柔らかい感触が首のあたりに何度か当たる。
「は、ぁ……ケンカ、した……」
俺の首に腕を回し、さらに多くの部分を密着させた実美のジーンズと体の隙間に手を侵入させ、困ったような声を作る。
「ケンカでこんなにおったてて、変態だな、実美」
変態と言われても嬉しそうな実見に、一番聞きたかったことを聞く。
「まさか、ケンカくれぇで、こんな服の乱し方しねぇよな?」
ワイシャツのボタンを閉めていないのはまだ、ボタンが飛んだと思えば理解できる。
ベルトをしていないことや、下着をつけていないことや、ジーンズのボタンを留めていない理由を問いたい。
「ここくるまでに、やりやすいように、した」
俺のベルトを外し始めた実美のケツを直に撫でつつ、もう少し詳しく尋ねた。
「パンツは?」
「ケンカいくのに、はく、か……?」
常識のようにケンカはノーパンだと言われても、信じることができない。
「初めては、パンツ履いてたじゃねぇか」
「アレは……」
顔を上げ、俺を見つめた実見は、やはりうっとりしたままだ。
「シマのかいつうしきは、はじめてみたいにさいしょから、ヤりたかった」
最低の極みのような言葉だったが、惚れた弱みが最高に可愛く見せた。
「そうか、悪かったな、開通して」
「んーん?はじめてがシマでサイコーで、きもちぃーから……なぁ、ヤろ?」
可愛くおねだりされたので、俺は心ゆくまでしつこくねっとり、実美を愛でることにした。



「お前は加減を知らないのかねェーヤーネ!」
「実美が可愛すぎんだよ」
やはりソファの上で膝を抱えた俺に、キィが頬を抑えて非難を始めた。
「可愛くないでス。明らかに欲目デスー。あんな事後みたいな格好でやって来て、人がいても構わずギラギラさせて、可愛いわけがねェーヨ。それを可愛いとほざいて、ねっとり攻めたて鳴いてもうやだむりとか言ってもじっとりヤるのは、何かのせいにできることジャナインジャナァイ?」
「……反省してます」
キィは何度か頷くと、俺から携帯へと興味を移す。基本的に、キィは俺の話は軽く流すに限ると思っているのだろう。
「ジャー、また、謝りにいけェー。今回は、またひどいらしイからァ」
「どんな?」
「お膝かかえて外気に触れるのも辛そうにして、フェロモンふりま」
「いってきます」
「イッテラッシャイ」



おわり

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