鬼怒川にナース服を着せるのは、あまり難航しなかった。
足まで縛った時点で、鬼怒川には諦めが出たらしく、仕方ねぇし楽しむか。という姿勢になったためだ。
俺が拘束してまで仕返ししようというのなら、仕方ないと思ったらしい。俺もめったにしないことなのだ。本気を感じ取ったのだろう。
足からワンピースを着せ、まず右腕に袖を通してもらい、一応右手を持っている間に左を開放、左も通して、後ろのチャックを一気にあげる。
そのあとは、両手を拘束した。
「…これは外さねぇのか?」
「外すかよ。屈辱味わうのに、自由はいらねぇだろ。それとも、自由にできるのに、従わねばならないという屈辱も付加すんのか?マニアックだな」
「…もういい」
鬼怒川はすでにお疲れだが、俺は足の拘束をとくと、サイハイブーツも履かせた。
「流石にでけぇな」
「そらな…」
そして、用務課までいってわざわざ分けてもらった追加用に用意されていた予備の品を部屋に入った瞬間に放置していたカバンから取り出す。
「…それはなんだ古城」
「…忌まわしいピンパラの副産物だ」
「……逃げていいか?」
「逃げても結果は変わらない」
結局、ピンクのエロナース姿の視界の暴力でしかない男は、さらなる暴力的なビジュアルになることになった。
白い皮のブーツに飛び散った蛍光ピンクは無残にも見えたし、エロくもみえた。
ナース服はベタベタに濡れ、肌が透けるわ、もともと余裕のない布がはりつくわ。
それだけでなく針のついていない、おもちゃの注射器で遊びまわったため、鬼怒川は既にぼんやりと遠くを見ている。
「陵辱された…」
というのは、このあと愉しむだけ愉しんで風呂に入ってからつぶやかれた鬼怒川のセリフだった。
あんなにも男らしい、今にも胸がはちきれるんじゃないだろうかという見苦しいナースを、遊びつくしてここにあってはないおもちゃまで入手してすごい格好をさせ、挙句、ただのエロくてただれた鬼怒川にしたのだから、当然と言える。お陰様で、視界の暴力故の腹筋鍛えから、身体に訴えてくる姿まで見ることができた。
あんなに笑って楽しんだというのに、下半身にくるまでエロくさせるのもすごいことだと思うのだが、そう思えるし、そうさせようと思う、しかもその気になれるというのが、俺は自分自身の本気を感じた。
これは、手放せないかもしれない。
そして、俺は下半身スッキリ、恨みつらみもスッキリだ。
仕返しが怖いが、その時はそれなりに抵抗しよう。




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