プレゼントは、三営業日以内に届いた。
彼の手元に。
その時にはすでに十二月も二十日すぎる位であった。
彼はこの山奥からプレゼントを発送して間に合う時期というものを計算した。
計算して、カレンダーを見て気がついた。
祝日がある。と。
所謂イブイブと呼ばれる祝日で、本来はそういった意味の祝日ではないのだが、クリスマスプレゼントを渡すにはいい祝日といえた。
その日に、会えれば…と彼は携帯のカレンダーを睨む。
店側のこの時期特有のサービスであろう包装をしっかりとカートに一緒にいれた彼の手元にあるパスケースは、パスケースが男性向けのデザインであったためか至ってシンプルな包装にされていた。
深い緑に、金と臙脂のリボン。クリスマスの定番カラーであるのだが、包装紙とリボンの風合いのせいか随分落ち着いて見える。
彼の気分はそれと反比例して、少し浮かれた。
いざ、プレゼントが手元に届いて、彼はなんだか大丈夫な気がしてきたのだ。
シンプルながらも綺麗に包まれたプレゼントは、落ち着いていて少し高級に見えないこともない。なんとなく誰かにあげなければもったいないような気がしてくる代物だった。
パスケースがピッタリと入る箱に入れられたのだろう。
薄いプレゼントはそれでもきちっとした四角で、とても綺麗に包まれているようにも見えた。
あとは、メールをして高雅院の用事さえ聞ければ。
そう思って、机の上にプレゼントを置いて、はや、祝日前日。
彼は、肩を落とす。
誕生日に引き続き、これも失敗だ。と。
机の一番上の引き出しを引っ張る。
そこには、彼が高雅院に渡そうとした包装されたままのプレゼントが一つ入っていた。
誕生日に誕生日プレゼントを渡せないこともよくあることだ。好きな人でなくてもよくあることなのだから、遅れたけれどと言いながら、渡せばいいと机の引き出しに入れ込んで、しばらく。
既にタンスの肥やしのようになっているプレゼント。
彼はそれをもう一つ増やして、しばらく眺めたあと、ゆっくりと引き出しをもとに戻した。
どうしていつもこうなのだろう。
舞い上がるだけ舞い上がって、やれるはずのこともできないで。
高雅院雅に関して、彼はいつも後悔をする。
いつも反省すべき点が多々ある。
反省しても、同じことを繰り返す。反省の意味がない。
彼は失意のまま、いつもどおり就寝した。
よく、眠れなかった。