オレオ?2
でかいだけが取り柄の会長机。
それに、両手を叩きつけた美少年が勢いをつけすぎ両手を痛そうにしながら、言った。
「いくら会長だって許さないんですから…!」
何がどう許さないといのだろうか。
まさかこの片想いがバレていて、それを許さないとでも言うのだろうか。
「解らないって、顔してますね!この魔性!」
兄弟というのはそういうところまで似てくるのだろうか。それともそれが俺という人間の定説なのだろうか。
とりあえず腹はたつ。
「うるせぇブラコン」
「ブラコン?ふん!褒め言葉だね」
そうかもしれない。
風紀委員長の兄弟で、特に弟のほうは素直に兄が好きであることを表明しており、毎日べったりだ。
俺が少々羨ましいなと思っても仕方がないくらいには、そう、べったりだ。
「会長の何がいいか知らないけど、やれ無駄にかわいいとか、やれせっかくの美形がとか男前がとか、くそ…スキがない、本当に美形なんて質が悪いったら…」
それをそう思うのなら風紀委員長は事実を並べただけなのではないだろうか。可愛いというのには、少し、いやかなり不本意なものを感じる。
「だいたいね!仕事なんて一人で一生懸命しちゃって!誰も褒めてなんて…褒め…褒めるけど!超えらい!正直ボクはやりたくない!ありがとう会長!ていうか、可愛いとか少しも思ったことないし!むしろかっこいいし。なんなの!兄さんの目が腐ったとでも?!でも、可愛くはみえないっていうか!」
文句を言いに来たのか、人をホメにきたのか。
わからないが、どうしていいかわからないのは確かだ。
俺は書類を机の端に寄せ、椅子から立ち上がる。
「な、なに?」
俺が怒ったと思ったに違いない。
「いや、せっかくの客人だ。お茶でも」
「何低姿勢になってんの!てめぇがいれろ!くらいいえば!?いれちゃうけど!」
どうやら、いれてくれるらしい。
なにをしにきたんだろうな、風紀委員長の弟君は。
俺は応接用のソファーに座って、思わず首を傾げる。
そこに、兄弟の迷惑は俺が処分する。といわんばかりに風紀委員長がくるのは、学園では当たり前のことである。
それが生徒会室でも同じことだ。
「よぉ、会長。うちの弟、きてねぇか?」
「あ、ああ。今、お茶を入れてくれている」
「へぇ?じゃあ、擬似的に二人っきりか」
久しいなぁ。などという風紀委員長は、ついでに生徒会に渡す書類を持ってきてくれたらしい。封筒をくれた。
俺はその封筒の中身を確認する。
その間に、委員長は俺をずっと見ていた。
さすがに居心地が悪い。
「なんだ?」
「いや、前の色のが好きだなと思って」
「…何が?」
「髪」
校則によれば、規定違反である明るさと色だったと思う。
しかしそれは、今更風紀委員長に面と向かっていうことでもない。
本人が違反しているからだ。
「それはどうも」
なんて平静は装ってみたものの、俺の前の髪色をしっているということは、俺の前の姿も覚えているということだ。
数ある違反者の中、俺を知っていてくれたというか、意識の中に入れておいてくれたということである。
毎日、違反したかいもあるというものだ。
「そっけねぇーの」
そんなことをいって、いつもの頭を撫でる癖を発揮し、俺の頭をクシャクシャと撫でた。
そのあと、俺の髪型を整えるように梳いて逃げていく手に、俺はちらりと視線をむけた。
と、いうところで、カチカチと食器が擦れる音がした。
そちらを振り向くと、風紀委員長の弟ががたがた震えていた。
「かわいいだなんてうそ、でもかわいい。なにそれ完璧じゃないの。おかしい。ぜったいおかしい。ていうか、兄さん甘い。そんな兄さんも素敵っていうか、会長ぱない。やばい」
ブツブツと何かいっているが、気がつかない方が幸せなのだろう。
「おーご苦労さん。っていうか、会長に迷惑かけてんなよ」
「いや、かけられてねぇし」
「そっかー?」
「おー。弟ってこんななんだなって、思ってたところで」
俺の言葉に、風紀委員長の弟は目をかっと開いた。
「お兄様…!」
何か、急に格が上がった気がする。
next
/
iroiro-top