磐城×成瀬




 クリスマスである。
 クリスマスといえばパーティーパーティー、年末年始も挨拶し、パーティーをするというのに、とにもかくにもパーティーをする金持ちの付き合いをしていた。
 過去の話だ。
 跡取りどころか高校を卒業すると同時に勘当するといわれている俺には関係がなくなった。
 それと同時に、俺は恋人とクリスマスを過ごせるという幸運を手に入れていたのだ。
「メリークリスマス」
 恋人である幸遊にそういわれるまで、気がついていなかった。イベントごとなど挨拶大会で面倒だとしか思っていなかったからだ。
「幸遊」
「あん?」
「いますぐサボろう」
「また、ヤんのかよ」
 嬉しくて下半身直下だとはいわない。だが、サボって何をするかといえば、恋人とイチャイチャして最終的には、ナニしたいのが下心というものだ。
 しかし、こういうちょっとした下心に幸遊がついて来れないときがある。
「もう少し落ち着け」
「何をだ?」
 ナニはいつでも元気だ。なにせ随分待たされたし、お預けを食らっていた。幸遊という好物を前に、我慢しなければならない理由が何処にあるというのだろうか。
「俺に恋人らしいことさせてくれてからでも遅くねぇだろ」
「遅くはねぇけど、身体のつきあいは恋人らしくねぇのか」
 困ったように幸遊が笑う。
「お前は本当になんつうか、待つことをしらねぇというか」
「これ以上待たされてたまるかよ。俺は、お前とは一分一秒無駄にしたくねぇの」
 やはり幸遊は笑うだけだ。
「プレゼントがあるんだが」
「おう」
「……俺もヤりたくなったから後にするか」
 俺が笑みを零すと、不意に、咳払いがきこえた。
 そう、そこには俺たちだけでなく、刹那もいたのだ。
「ごめんあっさっせー。お二人さん、できたら、そーいうの、帰ってからしてもらえませんかね。ここ、二人の愛の巣じゃないんでね。俺、恋人いませんしね。見せ付けないでくださいませんかねぇ」
 俺はわざと幸遊に密着するとそのがっしりした腰に手を回した。
「いいだろ?」
「あー! 腹立つ! なんっか腹立つ!」
 地団太を踏む刹那に、キスまでして見せつけてやったのだ。