「新歓、生徒会全員女装な」
がらっと開けられて、ぴしゃっと窓がしめられた。
生徒会室は一階にある。
そこの窓から急に声をかけてきた挙句、そんなことを言っていなくなる会長。
「え…ええ…なにそれ、ひどいぃー!」
会計の俺はおもわずうなだれる。書記のゆっちが俺の肩をぽんぽんと叩いた。
俺よりも女装が似合わないだろうゆっちは、もうすでに諦めた顔をしていた。
「うえええ、そんなぁ…ふくかいちょぉおー」
「いや、無理ですね。あれはもう人のいうこと聞きません無理ですね」
大事なことなので二度言いましたと言わんばかりだ。
綺麗な言葉遣いを心がける副会長は、その綺麗な言葉遣いに見合う凛とした雰囲気のある人だが、どう見たって野郎だ。線もほそくない。中性的でもない。まごうことなき男の子。
女装だと宣言していった会長だってそうだ。
どう頑張ったって野郎にしか見えない。
でも一応顔も整っている部類なんだから、化けるかもしれないけど、体型はどうやったって男。顔だって、女っぽさのかけらもない、男前の顔。ちょっと、不良っぽくて怖いくらいなのに。
「あれですかねぇ…やっぱり、風紀委員長に見せたいんですかねぇ」
そう副会長がいうまで、俺は嫌だ嫌だと文句をたれていたんだけど、副会長が言った途端に、俺ばかりか、隣で死んだ魚のような目をしていたゆっちまで、しゃきっとして、ホワイトボードを出してきた。
「ふくかいちょー!」
「なんですか、会計楢田(ならだ)くん」
「今から、会長の衣装会議をしたいと思います!!」
「俺もそれには賛成です」
副会長は居住まいをただし、ゆっちはホワイトボードにペンを走らせた。
第一回、会長衣装会議〜風紀委員長もメロメロ〜
ゆっちのサブタイトルのセンスは抜群だ。