二年生の不作


体育祭は最後の競技を待つばかりとなった。
体育祭の最後の競技、トーナメント戦は三十人で一斉に室内演習場ではじめられる。
ゆっくり観戦できるのは参加者以外と、トーナメントの離脱者、一戦をさっさと終わらせた者で、第一戦目で三十人がその半分、十五人に絞られる。
十五人に絞られたあと、溢れてしまったシードの一人以外は再び一斉に戦闘を開始する。
これが第二戦目。そこから七人に絞られ、三戦目はシード一人を加えて八人が一斉に試合を開始する。
四人に絞られたところで初めてひと組ずつ戦いを始める。
この四人がベスト四ということになるのだが、敗退した二人が闘うということはないので、このトーナメントではっきりした順位がつくのはたったのふたり。
優勝者と準優勝者のみだ。
この二つはおそらく三年生が、いや、ベスト四を三年生が占拠することだって有り得る。
三十人中二年生は、よく見知った五人と俺の合わせて六人。
その中でもキャリアがあるといっていい人間は一織と青磁ということになる。
青磁は良平にべったりくっついていることが多いので気にすることはないのだが、一度学園を退学した上で、武器を変え編入している。
良平と同じ学年に入学した青磁は、実は俺たちより年上で、一織よりは年下だ。
一織はこの学園に入るために三年を費やしたが、青磁はこの学園に入りなおすために一年を費やした。
そんなわけで、一織、青磁は他の二年よりも経験豊富といっていい。
このふたりは、経験に負けることなく成績も素晴らしいため、生徒会や風紀委員会に身を置いている。
そのため、三年生に勝つとしたらこの二人だろうと思っていたのだが、スクリーンに表示されたトーナメント表は非常に意地が悪かった。
六人いるうちの二人が初戦に三年生とあたり、四人が二年生同士であたっている。
ひと組が双剣と佐々良。もうひと組が青磁と一織。
俺、良平はコンビで仲良く初戦は三年生。
あーあと思っているうちに、俺達は初戦の舞台に飛ばされる。
トーナメントは、この自由でやたら演習場をつくってある学園には珍しく舞台の上で戦う。
円形か真四角の、木または石でできた舞台上で戦い、観客席も用意されている。
闘技場と同じ形式をとって、武闘大会を行っていると考えてもいい。
舞台の上から落ちても失格、離脱させられても失格。
あとは舞台上で何が起こっても止められることはない。
たとえば気絶してしまっても離脱させられなければ失格ではないが、倒れて離脱させられてしまったら失格だ。
気絶するにしても、起き上がるのに時間がかかれば離脱させられる。
武器科のお祭りではあるが、魔法を使うことは禁止されていないため、魔法を使う連中も多い。
しかし、残念ながら、魔法使いほど使えるという者はあまりいない。
だからこその武器科なのだ。
そのあまりいない者の中のひとりである良平は、どこまでやれるか試してみたいようなことを言っていたのだから、武器化の魔法と結界魔法以外は使わないだろう。

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