優等生ではまだ早い


文化祭七日目。
最後の一日はお片づけという名の祭りでとってあるため、実質本祭はこれが最後。
そう祭りの最後にはそれにふさわしいイベントがあるものだ。
それが、コンビ戦闘トーナメント。
文化祭は魔法科が中心となっている今年は、このコンビ戦闘も魔法使いがいるコンビを中心にトーナメントを組まれていた。
魔法使いがいないコンビも参加するのだが、参加できたコンビはこれまでの成績を考慮した上で、ある一定のライン以上の成績を収めている。
そうすると必然的に数は少なくなってくる。特に二年生では近々ぐらいしか武器科のみのコンビを見つけられなかった。
体育祭のように体力が勝負といわんばかりの武器科とは違い、参加している魔法使い達は事前にクイズでふるいにかけられた。
それが本日の午前中に行われたクイズ大会である。
最初はマルバツクイズで、一度でも間違えれば一人ずつ減って行くという形式で、ある程度人数が減ると、ずらりと並んだ落とし穴の上で四本の紐を垂らされ、選択させられるという形式だった。
正解は一つしかないが、不正解の三本には色々な仕掛けが用意されていた。
たとえば、粉が降ってくるだとか、金だらいが落ちてくるとか、落としし穴にかかった頼りない床が落ちるとか、水が降ってくるとか色々だ。
このクイズ大会ではもちろん知識が確かめられているはずだが、この学園の行うイベントに正解などない。
マルバツクイズはまだしも、四択クイズは自分自身に降りかかる災難さえ防ぐことができれば可とされた。
四択の紐を引っ張った後に結界をはる、または自分自身に起こり得る災難を予測し、罠が発動した時点で魔法がかかるようにすればいいということになっていた。
しかし、これがなかなか難しい。
クイズに正解するほうが、正しいし簡単なようにさえ思える。
俺の相方はこれを、何をするでなくクリアしてみせた。
そう、全問正解だった。
偶然一緒に眺めていた一織が四択が出る前から、正答するためクイズとしては少し面白みにかけてしまったが、相方の堂々たる姿と、あわてたり、正解しているけれど自信がなかったりする連中を見ているのはとても楽しかった。
相方が落とし穴の上で仁王立ちしていたせいもあるかもしれない。
「どうだ、俺の活躍ぶりは」
「どうだもなにも、横で四択でる前から正解言う奴がいたものだから」
相方は、俺の横で近々のコンビがなにやら話し込んでいるのを見て、偉そうに頷いた。
「それは仕方ない」
今も魔術と法術の掛け合わせによる反発と相性について、近々のコンビは難しいことを言い合っている。
「俺もあの話に加わりたいくらいだからな」
「あの話にか?いいんだが、トーナメントの時間は守ってくれよ」
「了解了解」
解っているのかいないのか解らない返事をされたが、トーナメントに申し込みをしたのは良平だ。
忘れず、ちゃんと戦闘開始までにやってきてくれるだろう。
「じゃあ俺は、先に会場の方に行っておく」
「おう、またな」
俺は手を軽く振って、転送してくれる魔法使いの元へと歩いていく。
歩きながら、昨日こーくんからきた連絡を思い出す。
腹が立つような自慢をこれでもかと自分自身の所行を持ち上げ語り、最後に画像も添付してあった。
どうだ、羨ましいだろうと言わんばかりに、また魔法石にキスしているこーくんがそこにいた。
「まったく寿ときたら」
「え?どこですか?」
俺を転送してくれる転送係が、場所の名前を言ったと思って聞き返してきた。
「ああ、わるい、独り言だ」
「あの反則狙撃さんでも独り言なんていうんですね!」
あまりに感激したように言うものだから、周りは反則狙撃にいったい何を思っているのか気になってしまった。
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