ふわりと広がるスカートはピンク。
風でめくれ、広がるペチコートとパニエはオフホワイト。
その中から下着をガードするようにみえるかかぼちゃパンツもオフホワイト。
足をぐるりと囲んだのはレース。
靴下も白で、その靴下を落ちるのを防ぐべくされたガーターリングは白を基調とし、赤いリボンがしっかりと靴下を止めるべく頑張っている。
靴はおでこ靴で、意外とヒールは高いがしっかりと身体を支えるべく太い。
少し光沢のあるそれは、少女も憧れそうな赤。
少女には少し早すぎるかもしれないビスチェは本来ならば胸を寄せて押し上げるだろう形をしていたが、胸板を前にしてしょっぱいフォルムを作っていた。
上から羽織ったボレロは姫袖。真っ白なそれの袖先はレースとフリルで華やか。
何がどうなっているかわからないが、ツインテールにでもすべきなのだろうか…そんなことを現実逃避する。
「なんなん?これ、魔法少女とかにでもなったん?お供の動物とかおらんの?」
洗面台の前、そんなことを言ったあと、がくりと洗面台に両手をつく。
あまりにひどい。何が起こったかもわからない。
とにかく、着せられたにしてもなにかおかしな奇跡が起こったとしても、顔を洗いにいくまで気がつかないなんてどうかしている。
俺は好きなだけうちひしがれたあと、急いで寝室に向かう。
昨日まではきちっと古いTシャツと、緩いチノパンを着ていたはずだ。
確認すべくやってきた寝室には、それらの姿はなく、ベッドの上にはピンクの三角帽子があった。
「なんでやねん!」
思わず突っ込むと、俺は携帯端末で、ある友人に連絡をとる。
「ちょう、なぁ、あれなん?なんかしたん!?」
『今気がついたの?朝が遅いっていうか、もうお昼だよね、お休みだからって気を抜きすぎでしょ』
「いや、いやいやいや、そういう問題とちゃうやん?っていうか、やっぱりお前の仕業かい!」
『ふふ…副会長もやっておいたよ。君と対になるようにね!』
「なんでそこ、ひぃやねんな!普通良平やないん!?」
『良平くんはほら…風紀委員長がこわいからしないよ。あと、ご機嫌損ねちゃったら、研究させてくれないじゃない』
「いまでもさせてくれてないやんな!?」
『やだなぁ…明日もその格好でいたいの?』
「……すません、その、できたら、今すぐ、い、ま、す、ぐ。元に戻したってください」
『ふふふ…学園に出てきて一戦してくれたらね?』
誰と?とは聞かなかった。
多分、俺と同じ境遇になってしまった一織とだ。