『さしあたっては眼科が遠いことが問題』


生徒会には、すごく可愛い人がいるのだなぁ。
と気がついたのは、転校生がやってきて、俺の同室者になってからのことでした。
いえ、もちろん、外見的に可愛い、綺麗な人、かっこいい人で構成された生徒会なので、外見的にも内面的にもすごく可愛い人はいたわけだよ。
すっげー乙女趣味で、すっげー可愛らしくて。
正直、男より女の子の方が趣味合うよね?ってかんじ。そんな感じの生徒会会計様とか。
すっげー可愛い顔して、小悪魔的な。
可愛らしい容姿で悪戯好きな双子書記さまとか。
すげー美人ですげー中性的。
性別迷子な副会長様とか。
いたわけさ。いたわけさ。
まぁ、残る会長だとか、補佐だとかいわれる人は、もちろんカッコいいの部類に入っていたわけで。
でも、訂正をさせてください。
会長かんわいいー。
なんつうかもう、かんわいいー。
あと、補佐も、すんげーかわいい。なにこれ、かわゆい。
日本語おかしくなるほど、その二人、可愛かったわけだ。
まず、食堂で尋常ならざる美形集団である生徒会がきゃあきゃあいわれちゃうわけじゃん。
転校生と仲良くしちゃってきーとか、新参者に文句いいたい連中は置いといて。
俺が転校生とはまぁ、クラスにそういうやついるよねー。まぁ、クラスメイトだよねーって程度の付き合いなのもこの際おいといて。
煩いわけよ、きゃーっていわれて、うるさいわけよ。
そこで会長が言ったわけだ。
「頭イテェのか?」
まぁ、顔しかめて額押さえてればそう思うよね。
「ほらよ」
って渡してくれたのは、半分が優しさでできてるアレね。
あ、優しいね、勘違いでも。なんて思うわけじゃん。
したら、補佐がですね。
「大丈夫?平気?」
ってきいてくれるわけじゃん。
まぁ、優しいねって、それだけで終わっただろう出来事だったんですけどね。
その筈だったんですけどね。
「ありがとうございます」
って笑って、御礼をいうと、生徒会長は視線をゆっくりずらした。
補佐はふにゃっと笑った。
え、生徒会長、少し赤いよ。照れ隠しなの、それ?かわいいよ?
補佐はもう嬉しそうに笑うよ、何それかわいいよ?
ってなってしまった俺がおかしい…わけでもなかった。
俺はその日のうちに、生徒会長親衛隊に呼び出され、感謝されたわけさ。
「あ、ありがとうございます!会長の、あんなかわいい照れ顔!めったにみれないんです、ありがとうございます!イケメン様!」
そこには何故か補佐の親衛隊もいたわけで。
「ほんとうにありがとうございます!補佐様の、あの嬉しそうな顔!ほんとうにありがとうございます!イケメン様!」
何故か、親衛隊の連中は俺をイケメン様とよぶ。 別に、面はイケメンじゃない。普通である。
だが、奴らだけでなく、皆が俺のことをイケメン様と呼ぶ。
さいしょは嫌味かともおもっていたが、どうやら嫌味ではないらしい。
「イケメン様、本当にイケメン様だから…ッ!」
という理由らしい。
意味がわからない。普通にしているだけなのに。
話はもどって、会長と補佐だ。
「こんなに騒がしいのに、大丈夫ですか?会長は騒がしいのお嫌いですよね?…あ、妹尾(せのお)も人がたくさんいるのは苦手なんじゃなかった?」
まぁ、世間話程度にお話をしていたわけです。
会長は、素直に頷いて、『好きではないがそれに対し騒ぐほどじゃない』といった。意外と我慢できる人なんだなぁと思って、一つ頷いておいた。
補佐の妹尾…クラスメイトなんだが、人がたくさんいるのは本当に苦手らしいが『ちょっとはなれた』らしい。うん、なれたのか。と、こちらもひとつ頷くだけにしておいた。
その間、転校生は可愛くて綺麗な人たちに囲まれていたが、俺はカッコいい人たちに囲まれていたわけだ。
俺の世間話程度の言葉に、そんなこと慮ってくれる人はいなくないけど、真正面からいうくらい親しい人はいないなぁと若干寂しそうな二人…もしかしたら、俺の贔屓目かもしれないが…はすごくかわいかった。
なにこれ、眼科いかなきゃ。な状態。
でも、可愛い。なにこれ、なんの可愛い生物?
そのカワイさに俺は、二人を可愛がりたくなった。
「そっか」
可愛すぎて、学園でこういった人気者に近づくのがどれほど危ないかということが消し飛んでいた。
だって、可愛いんだよ。おどろくほど可愛いんだよ。誰だ、この二人カッコいいとかいったの誰だ。
「今度また会ったら、そのときはもうちょっとゆっくり話しましょうか。…妹尾はまぁ、また教室でも会ったら」
会長、こっそり道哉(みちや)ズルイって呟いた。ちょっと、かわいいよ!?
ていうか、俺ハーレムができてるの気のせい?
妹尾が、ごめん、でも、俺、我慢しない。っていった妹尾も可愛い。
二人とも、なんか俺に特別…特別、気とかあるの?なんかやたらかわいいよ?
むしろ、俺の方が二人に気があるの?あるのかなぁ。フィルターとかかかってんのかなぁ…。
おもいつつ、薄情にも転校生は食堂において、さっさと教室に戻る俺。
食堂では、盛大な溜息が吐かれ『イケメン様マジイケメン』とかいわれてたとか俺は知らなかった。
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