他の奴と同室になった。
うんまぁ、Fクラスの寮のあいてるとこに無理矢理はいるって形だ。
そうするとアラ不思議、Fクラスを纏めてるやつってのはたいてい一人部屋。つまるところ、そこにがつんと入れられるわけだ。
Fクラスまとめてるやつは…、まぁ、簡単にいうと、引きこもりだった。
そりゃあもう、よく知る引きこもりだった。
会うことは少ないが、その仕事ぶりに何度たすけられたことか…つまるところ、書記だった。
てめぇ、Fクラスかよ…。
「よォ、久しぶり」
「久しぶりじゃねーよ、お前、顔忘れられるぞ」
「クラスにはそれなりに顔出してんよ」
「そりゃあ、見かけないはずだわ。役員ってFクラから出るの風紀だけかと思ってたわ」
「いや、最初はSだったんだが、引きこもりすぎてFになった」
なるほど、そこは理にかなっているな。
と感心していると、Fクラスの男前は、俺の頷きに笑う。
「お前いいの?俺の前でそんな無防備で」
「平気だろ、お前と俺には友情しか芽生えんだろ」
「セックスフレンドも立派なオトモダチ」
「会計に言いつけるぞ」
「たまにはあいつに嫉妬させるのもいいと思わないか」
…書記と会計は、そういう意味で付き合っている。
会計が色事に忙しかったのは、前半戦はこの書記の気を惹くため。後半戦は何事にも余裕綽々で動じない書記を嫉妬させ、あわてさせるため。
後半戦はブラフであるが、書記の嫉妬は並みではない。
大成功である。
「無理無理。俺が稀代の色男でも、お前、実は純情派だろうが」
見かけによらず。
いや、見掛けによるのか?武士前としているといわれているから、まぁ、そうなのかもな。
「そうだな、だいたいお前だと火遊びもできねぇわ」
会計ぜってぇ泣くもんな。
俺が書記と気があって仲がいいというだけで、会計は俺と書記の仲を疑ったりしていた。そりゃそうだ、引きこもりと仲がいい色男。そりゃあ疑うよ、この学校の風習じゃ。
「仕方ねぇから、風紀委員長よんでやるよ」
「それはどう、しかたねぇんだよ。いらないお世話だろそれ。溜息つくだけだぞ、委員長」
ちなみに、風紀委員長はFクラスである。