転入生。
俺様で不遜。美形の男前で、絵に書いたような王様。この学園の生徒会長としてお似合いの人間だと俺は思う。
容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群、性格が俺様であること以外はなんてことはない。
「イツキ」
そして俺に懐いてること以外は本当に。
本当になんのことはない人気者だった。
「どうしてイツキはあんなくそ風紀と仲が良い?」
仕事もできるし、何の問題もねぇなみたいに観察できていた。
俺もFになれて、なんてことのない日常を…ドエス様とか言われてるが過ごしているのだ。
風紀と仲が悪いのは、まぁ、悠司が毛嫌いしてるし、新会長も毛嫌いしてるから仕方ないこととして。
「風紀委員長と仲いいからな」
「俺様がせっかく、面倒そうなイツキの肩代わりをしたというのに、なぜイツキは俺様とだけ仲良くないんだ?」
まぁ、その仲が悪い原因が俺であるのはいうまでもない。
奪い合っても俺は二つになったりしねぇよ。
「オンリーは無理だろ。嫉妬深い男は嫌われるぞ」
しかも両者供に俺に求めてきているものが兄弟愛とくれば、こちらも弟を可愛がるような気持ちである。
しかも、こちらも色々不憫なやつなので、ついつい甘やかしてしまうのだ。
「お前、俺に恋人が」
「イツキに恋人!?ダメだ許さねぇ」
最後まで言わせていただけなかった。
「こ、恋人…!」
後ろだけをひきとって、紅茶の乗ったお盆を落としたのは副会長だ。相変わらず王子様のような顔が真っ青である。
「ど、どなたがどなたの、恋人ですって?」
しかししっかり聞き返すあたりが、副会長らしかった。
「誰もいねぇよ、な、イツキ?」
「いたらどうすんだ?」
「まず、まわりから陥落させる」
「四面楚歌か?」
「そうでもしないとイツキは逃げんだろうが」
まぁ、まんまとだな。
副会長が割れたカップの破片をひろいながらため息を吐いた。
苦労してるな。
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