だぁっとれ


「え?ちょっとまって里村と辺って、あの里村先輩と辺先輩?」
「サクヤの言うとるんが、俺の友人の里村と辺ならな」
里村先輩というと学年二位で運動神経抜群。クールな知的メガネとして女子に人気がある人だ。ここ、大事。女子に人気がある人。…男子には著しく人気がない。
それとは逆に、辺先輩は男子に人気がある人だ。女子に人気がないわけではないが、年柄年中バカやってて、やることなすことゆるーいため、女子より男子人気が高く、女子からはペットのように可愛がられていて、餌付けされてる。ちょっと髪の色が校則より明るいため、よく、生活指導の先生に追いかけられているのを見かける。
そんな正反対なふたりは友達!とても仲がいい。里村先輩のツレといえば辺先輩だ。雄成も二人と仲がいいんだけれど、雄成は俺と行動することが多いので二人ほど一緒にいるってわけじゃない。
雄成いわく、ふたりは中学からのツレなんだそう。それは仲がいいはずだ。
しかし、そんな目立つ二人がヤンキーだったなんて。ヤンキーって聞いたら、ヤクザほどじゃないけどビビってしまう小心者の俺には、大変恐ろしいものがあるわけで、今まで気軽に声をかけてしまった!どうしよう。と少し深刻な顔をすると、雄成が軽く手を振って、大丈夫と言ってくれる。
「あの二人、サクヤのことめっちゃ気にいっとうから大丈夫やで」
隣にいたアキラがすごい圧力をかけてきてくれるため、現在の俺は全然大丈夫じゃない。
けど、アキラが圧力をかけてくるということは嫉妬してくれているってことで、怖いけど可愛いけど、怖い。結局怖いです、アキラさん。
「それで、どうやって雄成のこと好きになったんですか、京一さん」
話を変えるために京一さんに話をふったわけだが、京一さんは心底不思議そうな顔をしたあと、首をひねった。
「サブリミナル効果みたいなものじゃないか?」
サブリミナル効果で人を好きになるなんてよっぽどだ。
「せやなぁ…京一のんは刷り込みみたいなもんやな。お兄ちゃんヒーローやってんもんな?実際おうてみたらこんなんやったさかい、幻滅してもええんやろうけど、恭子さんの俺の説明がまた絶妙で」
「どんな?」
「邪魔するものはカスほども残さへん…みたいな」
怖いんですけど。雄成、それが本当なら、マジ怖いです。
そんなわけでちょっとビビリで小心者な俺は隣にいたアキラに少しひっついて怖さを紛らわせる作戦に出た。
アキラが、役得。みたいな顔をしたんだけど、よくよく考えなくても俺をいつも一番怖がらせているのはアキラである。
「本物はすごかった…」
そういってうっとりする京一さん。ちょっと待って、京一さん、そこ、うっとりするべき所じゃなくないですか?普通の反応俺みたいな感じじゃないっすか?
「京一は、だて食っとるさかいなぁ」
雄成も何気なく京一さんのことシュミ悪いって言ってるよね?恋人のことシュミ悪いとか、つか、自分のこと趣味の悪い物件っていってるよ。
「まぁ、俺は趣味ええんやろけど、理由からいうと、めっちゃ趣味悪いし…血やろか…」
自分で認めちゃってるよ雄成。
いや、それより、その趣味の悪いってのは一体どこからきているのだろうとか、決定的なことはなんであったんだろうとか、気になるじゃないか。
「ええと、なんか二人がくっついた、原因っていうか…」
「せやねぇ…また明日のお昼休みな?」
いや、いい加減、お昼休み以外も話なよ! ここまで話すの結構長かったよ!?まとめてくれなくても別にいいよ、雄成上手いこと話してくれるからさ。だから、もっと別の時間も話そうよ!




next/ ピンチ番外top