クソくだんねぇ


京一くんとお付き合いすることになったと電話で報告した俺に対して、母が言った言葉は斬新だった。
『お父さんと好みが一緒だなんて』
一人息子が半分血の繋がる弟とお付き合いすることについてのコメントがそれなのだから母は、本当に変わった感性を持っている。
母曰く、俺が弟と付き合うということは顔面的には似ていないし、男同士なので遺伝子的に問題は無い。男で兄弟という少数派すぎるという面においてのみ問題が派生するらしい。
『別に一緒に暮らすわけでなし。一生続くかどうかも解らないし』
そんなものなのだろうか。
そんなものなのかもしれない。
そう思ってしまう俺は確実に母の子供だ。
そのお付き合いすることになった京一は、自分から付き合おうといったくせに、唖然として言葉をなくした。じゃあ、デートでもしようかと笑ってやると、微妙な顔をした。
とりあえず初デートは遊園地だよね!ともいってやったら、どうしていいか解らないような顔をした。
イイ性格だな。と自分でも思う。
勝手にペラペラしゃべって勝手に初デートを決めた。 週末、初デート。
金銭面は大丈夫。俺が奢れるくらいには下僕どもから賭け事で巻き上げたばかりだ。ひでぇっす!といったあいつらは、他から巻き上げていたので、まぁ、いいだろう。
最近、下僕ニ匹を中心にどうも、チームのような集まりができつつある。巻き上げたのもその連中からだ。
俺はというと、特にかかわりを持たず、あいつらも俺から卒業して、チームを旗揚げするんじゃなかろうかと遠巻きに眺めている。
「ユウさーん」
けれどまだ、その気はないようで、下僕兼ワンコ二匹は俺に未だ懐いている。
「あ?」
にこにこ笑って辺を見ると、マンションの窓の下を指差す。
「か・れ・し」
窓の下を覗くとそこには、恋人になったばかりの弟がいた。
「あー…俺の彼氏、イケメンだろ」
「いや、もっと違う反応が欲しかったす」
「……きゃッ!はずかしッ!もー京一くんたら!あんなところで待たないでって、お願いしたのにッ」
「それも違うと思うっす…」
視線をそっと反らした里村が口元を押さえた。
「アレか?ツンデレ的な反応が欲しかったわけか?ば、ばかか!あんなん彼氏じゃねーし!的な」
俺が言ってみると、どうやらそれを期待していたようだったのだが、いざそうこられると、何か違ったらしい。
二人とも首をかしげていた。
「ま、とりあえず、かわいー彼氏のために、ちょっくらいってくら」
「あ、いってらっしゃーい」
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