一年生二人のうち、一人は留年をしていた。
すぐにそれがわかった俺は、首を捻る。一年生ではないはずだ。
「会長?」
「いや、そこの一年…悪いが、去年も一年だったか?」
すぐに驚いた顔をしたそいつは、頷いた。
「何で知ってるんすか?」
「…一応、二年までは完璧に頭に入っている」
力の有無を確かめるためだ。
昔は、会長だという矜持のためだった。正直、そこまで把握しなくてもいいと、今では思う。
「去年、特にトラブルにあったクラスだったろ?」
そう、それもあってそのクラスの人間は特に覚えている。
だいたいクラスは持ち上がりだ。
「…っす。俺もそのトラブルで会長に助けてもらって」
それでここにいる。
そいつはその後のトラブルにより怪我をし、留年したらしい。
持ち上がったそのクラスは、今もトラブルが耐えない。
主に不可解だとか、霊的障害とかいわれるトラブルだ。
「あの時は、あざーした!」
「いや…」
ほぼ業務だ。
やるべきことをやったし、俺には俺の目的があってそのような場所にいるだけなのだから、感謝をされても、少し気まずい思いをする。
嫌な気持ちではない。ただ、胸ははれない。
「まだ、あいつら、トラブル続きで…会長にはすげぇ感謝してて、皆、会長の部隊に入りたいくらいなんすけど、その…力不足とかもあるっすけど、体調とか、皆、いつも、あんまよくなくて…」
そう思えば、あのクラスは保健室使用率も非常に高い。
何か問題があるのではないかと思い、場所や生徒を調べたが、何の問題もなかった。
クラスの連中をばらばらにすることも考えたが、他の生徒たちが嫌がることもあるうえに、保健室を多用しても、授業をサボっても怪しまれないクラスであることも要因して、そのまま持ち上がった。
そこは、ぐれてしまった生徒を集めていた。
自分自身の力であるとか、境遇であるとか、少なからず何かあったであろう人間は、この学校でなくともあるのだ。特殊な力をもつ人間にそれがないわけでもない。
もしかしたら、普通よりも多いのかもしれない。
見えないものが見え、わからないものがわかる。使えないはずの力が、使える。
それは、そう、転校生が嫌がるように、いいものであるとは限らない。
そして、あつめられた人間に選民意識があったり、血筋がどうの、力がどうのといっている連中もいる。
血筋がよくなければ、力が弱ければ、特殊性が薄いのならば、その輪の中にはいっていくことは難しいだろう。
それに反感を持つものもいれば、この中の普通以外の普通を知る人間もいる。
そうして、ぐれるという形を持つやつも出てくる。
それは、所謂不良というやつにあたるわけだ。
素行不良のやつらを嫌うやつは多い。
嫌われて当然だという行為をしているやつもいるからだ。
目的第一である俺は、そういうのはもうどうでもいい。
昔は鼻につくといって嫌悪していた。
今では可愛いもんだとおもう。
「でも、会長が、やれっていうんなら、いつでもなんでも!」
「あー…いや、別に。そんなはいいから、お前ら自分たちで起すトラブル、なんとかしとけ」
「っす!伝えとくっす!」