虚言



札を何枚か取り出し、投げつける。
化物どもはそれに身を焼かれ悶える。
「符術か」
「あれってやっぱ、お手製かなぁ」
「だろうな」
化物どもと活躍する編入生を、食堂の生徒会専用室から見下ろしながら、俺は頷く。
「うーんでも、あれを使いこなすってことはなかなか」
悶えている間にさらに札を投げつけ、止めをさす。威力は軽めだが、手数でおしている。なかなかいい戦術だ。
「そうだな。難しい符じゃないようだが」
「フフ。今回は小規模っぽいし、出ない?」
俺は机の傍らに置かれた武器を見て、少し考えた。
目的を果たすためならば、少しのチャンスも逃してはならない。
「いや、出る。俺にとってはコレがすべてだ」
立ち上がる俺に、リツが苦笑した。
「もうちょっとのんびり構えてもいいっていうか、そういうの望んでないっていうか」
「望まれようが望まれまいが、これしかねぇんだよ、今んとこ」
「そうだけど、ねぇ?」
首を傾げたリツは、俺が行う以外の方法を知っているのだろう。
「ひょっこり出てくると思うんだけどね」
そんなに簡単に出てくてくれるのなら、苦労などしない。
俺は思わないでない。
「でもねぇ、そんなに頑張らなくてもいいとおもうんだよねぇ」
なんせ愛だから。なんて茶化されても、俺はリツの言葉には従えない。リツはおもしろ半分で発言することが多いからだ。
「行くぞ」
「はいはい」

next/ iroiro-ftop