空事2
なか二階のような場所から現れた、これまた美形…もう、生徒会の中でも一等美形だろうと思われる美形がある場所に立つと、一気に状況が変わった。
彼をめがけて殺到する化物どもが、次から次へと何かに捕らわれる。俺はあの仕掛けを見たことがある。
「結界捕縛?」
結界は人を守るためにある。
しかし、強すぎる結界は人を閉じ込める。
それを利用したのが、結界捕縛。
その名のとおり、結界で人を捕縛する。
この場合は化物を捕縛しているわけだが。
「…足りねぇなぁ…」
呟いた美形に、俺は首を傾げる。
誰も答えてはくれなかったが、誰もがその美形を見ていた。
うっとりとした顔で、尊敬の眼差しで、信頼を寄せる表情で…すこし、恐れを持った雰囲気で。
「吸引」
その言葉に従うように、捕縛結界が小さくなっていく。
その中にいる化物どもは捕縛された結界の中もがきながら、どこかへ吸い込まれていく。
その光景は、あまり気分のいいものではなかったが、見たことのないものでもなかった。
あれは、結界捕縛ではない。
吸引結界だ。
吸引をして、いったい何に吸引されているか、どこに化物がいくかは知らないが、二度同じ化物に会うことはないことから、吸引される先は異界ですらないのだろう。
美形によっていった化物どもで最後だったのか、食堂はすっかりものとの温度に戻っていた。
「…あれが、生徒会長です」
説明してくれた副会長の声に、俺はいやに納得した。
堂々とした振る舞い、まさに生徒会長。
しかし、この人、化物寄せる体質の人か。
ちょっと面倒だなぁ…とおもったのはここだけのヒミツということにしておこう。
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