ヘッドのセクハラは、日々続く。
なし崩しで告白しあって、お付き合い初夜。
一線どころか、二戦参戦。
気がつけば朝。
いや、いいんだが。全然いいんだが。
朝っぱらからセクハラ受けてる俺の気持ちをどうすればいいんだ。
朝から爛れてる。
「エー」
朝から色気を漂わせる人は一才しかちがわないはずだ。
声は喘がせすぎてかれている。いや、そこは問題じゃない。朝まで頑張ってしまったから、ヘッドが立つこともできないとかそこも問題じゃない。
朝から甘えてべったりとか、そこも。
もはやいつもどおりだから、そこも問題じゃない。
問題なのは、無駄に広い寮の部屋、ベッドで、何も着ない状態で、座っている俺の腰を引き寄せようとしているヘッドにあるわけで。
いや、いってしまえば、それが全て、そう、すべて。
重なって重なって、あれ?今日も元気だなぁ、ははは。という状況下にあることだ。
若さ舐めんな。
「穂高さん」
「…せめて、ウタさんと呼べ」
「いや、とにかく何か。せめて何かきてください」
「今日も理性と戦ってる性少年にはわりぃが、ベッドじゃ裸族派だ」
いや、嘘でも本当でもいいけれど、ヘッド。
せいしょうねんだとわかっているのなら、そう、理性と戦っているとわかっているのなら、やめようか。
昨日も、『も、無理』っていったの誰ですか。忘れたとはいわせませんよ。
「ここ、俺の部屋なんで、俺のルールに従ってください」
なんて、強く出てみた。
ヘッドは眉間に皺を寄せただけ。
ああ、そうですか。それなら、俺にも考えが。
というわけで、俺はその辺にあったヘッドの服…は、きれたものじゃなくなっていたので…せいしょうねんは手加減できませんすみませんな気分で、クローゼットから服を引っ張り出す。
ヘッドに適当な服など着せられない。
だが、明らかに気合はいった服なんか着せるのもどうかとおもわれた。
ジーンズに買ったばかりのティーシャツ。とりあえずこれでいいだろう。
下着は新品のが一応あったんでそれをだして、ヘッドのそばまでいくと、抱き上げる。
ヘッドは小さくない。
むしろがたいがいいほうだ。
抱き上げるっつっても、ひょいっだとか、すっだとかいう擬音は使えないほどだ。
しいていうなら、よいしょってかんじで、抱き上げる。
すでに掛け声だ。抵抗されないので、まだ大丈夫。なんとかいける。
着やせしてるのが一発でわかる、いい身体。
あー俺のでサイズ平気だろうか。大きいのはいいんだ。小さいと目もあてられねーよ。
とおもいつつ、足を折り曲げて下着から。
されるがままになってたヘッドが笑った。
「着替えさせてくれんの?」
「着てくれませんので」
「ちょっと機嫌とってくれりゃいいのに」
「そのちょっとが大変そうなので」
「そうでもねぇよ」
そういいながらも、ジーンズをはかせる。
Tシャツは…もう自分できてくれねぇかなぁ。
「穂高さん、シャツ着てください」
「だから、せめて、ウタさんと呼べ」
「ウタさんじゃ、ほかのヒトと同じじゃないですか」
「かわいいこという…じゃあ、謳歌」
「それはちょっと…俺のポリシーに反するんで」
ヘッドには恋心もあるけれど、尊敬もしてる。
呼び捨てもできなけりゃ、敬語も崩せない。
そんなの俺の事情で、ヘッドはもしかしたらそれが気に入らないのかもしれないけれど。尊敬してんだよ。愛してんだよ。
なにが悪い?
「謳歌さん、は?」
一応妥協はしてくれる。でも、名前か…
「穂高さんじゃダメですか」
「なに、照れてんの?」
「はい、照れるんで、他にしてください」
「嘘つきめ」
嘘でもなんでも。名前はまだ抵抗がある。穂高さんじゃダメか。なんだ、あだ名でもつければいいのか、どうなのか。
「じゃあ、あだ名でもつけますか?」
「…ああ、バカップルぽくていいんじゃねぇの」
バカップル。
まぁ、確かにそうだ。バカップルっぽい。
「謳歌…おうか…ああ、じゃあ、サクラさんでいいですか」
「あだ名すら、さん付けか。まぁ、いいけどな」
そういうとやっとTシャツを着てくれた。
あ、キスマーク隠れてねぇでやんの。
ちょっとギリ過ぎた。