髪を整えて、制服を軽く着崩す。
それだけでいつものあいつが見える。
どころか、いつもしてる眼鏡がないおかげで、知的な雰囲気が消えて、男臭さが出る。なんで、眼鏡くらいで人相って変わるんだろう。
眼鏡がなくて視界が悪いから、先ほどから顰めっぱなしの眉間すら愛しい。
生徒会室の一角、ソファーのおいてあるその場所で、あいつを座らせ、向かい合わせて座ったあと、あいつの格好を普段どおりに近づけた結果がこれだ。
「…穂高さん、この体制は、ちょっと…」
「……せめて、ウタさんって呼べよ」
「いや、なんというか…とにかく、この体制はどうかと…あと、生徒会室、ヤバイと思うんですが」
さっきから見られてるよなァ。と俺は視線の元を辿る。
幼馴染と目が合う。
しっかり者の陽ちゃんが苦笑した。
そのほかにも、副会長、会計、書記、庶務がこちらを見ている。
…久しぶりなんだよ、べったりしたいんだよ。悪ぃかよ?
「謳歌、相手が困っているだろ?のいてやれよ」
「ヤダね。久しぶりなんだよ、のいてやるわけがねぇよ」
「…じゃあ、退かなくてもいい。ここでやるな。目に毒だ」
何が?と思い、首をかしげる。
俺が無駄に色気だして迫ってることか?あてられるやつはあてられとけよ。トイレに勝手に駆け込めよ。面倒くせんだよ。
「俺、一応、そこの副会長に呼ばれてきてんだけど」
「…あ、そうでした。穂高くん、生徒会に入りなさい」
「やなこった」
「即答ですね」
「当たり前だ。俺は俺の自由なのがいんだよ。なんで、好き好んで生徒会なんて雑用しなきゃなんねぇの?」
「特典とかありますよ」
「いらねー。かけらもいらねぇ。そんなだったら風紀はいるわ」
エーも風紀だし?
一緒に行動なんてできやしねぇだろうから、そこは委員長おどしつけたり賄賂したりして頑張ってみようかなと思いはするものの。
俺はだいたいそういう団体に所属しようとかまったくおもわねんだよなぁ…。
あーそれにしても、エー。暫く会わないうちに筋肉ついた?ちょっと背伸びた?抱き心地ちげぇ。その上ちょっと締まった?太さちがう。弾力違う。いや、これはこれで、いんだけどよー。
俺が風紀委員長と話をしている間、何か諦めたのか、現実逃避をしたのか、エーが俺の髪を弄る。
いつもサイドにある細いミツアミをつくったあと、首をかしげ、少しして、何処からかヘアピンやらヘアゴムやらを取り出して、俺の髪型を作っていく。
ついでに眼鏡も外された。
「…ソレ、茶髪でも似合うな」
とコメントしたのは幼馴染で生徒会長の陽介。
「美形、だったんですね」
何、そんなに今の髪型にあってんの?俺、基本的に明るい茶髪って似合わねんだけど。
ていうか、なんでエクステまでもってんだ、エー。
「せっかくだから、金髪にでもしませんか」
ってそれ、風紀の言葉じゃねぇし。