赤のエクステを編みこんで、黒の革紐も一緒に編みこむ。
サイドをコースロー風にしてゴムとピンでとめたあと、俺はやりきったと息をつく。
現実逃避だ。
膝の上に好きな人をのせて平静でいられるかっていったら、そうでもない。
理性がギリギリいう。
しかも、色気を垂れ流してべったりひっついて離れないとか、俺はもう手を出してもいいんじゃないだろうか。とさえおもった。
ここが、人目がなく生徒会室でなければ、行動したが。
残念ながらここは生徒会室。何人かにばっちり見られている。
俺は、だから、逃避することにした。
茶髪が似合わないが、他の色を足すと急に華やぐのはいったいなんのマジックなんだろうな。
だいたいこの色が似合ってないんだ。
いっそのこと中途半端にせず、金髪にしたらどうなんだ。
と思って、そういったら、首筋齧られた。
反対なのか賛成なのかわからないが、その気にさせるのは本当に止めて欲しい。
「なぁーエー。このカッコのまんまおでぇえとしようぜぇー」
いや、あんた、話を聞く限りじゃ、目立たないためにそんな格好してるんでしょうが。
と、おもうものの、ヘッドはいつも自由だもんなぁ。
ヘッドである穂高謳歌が生徒会と仲がいいのも、生徒会長と幼馴染で、むかえにきた副会長と音楽の趣味があった…副会長がむかえに来たとき、ヘッドホンから漏れ聞いた音楽がどうも、副会長の好きなアーティストだったらしい…ので、副会長と仲良くしているうちに、会計や書記、庶務もパーティーで認識があって、あっという間に仲良く…。本当、ヘッドはなんだかんだと敵意のない人と仲良くなるのは上手である。
「エー?」
「あ、はい。まぁ、ここまですれば…わからないから大丈夫だ、とおもいますけど」
と、制服まで着崩してしまったヘッドがもたれかかってくる。
いい加減この拷問どうにかならねぇかなぁ。
「じゃー、おでぇえとー何処がいい?むしろ、校舎案内すればいい。まだ、来て日が浅いから、それなりに楽しめる」
「あ、はい。案内しますから」
もう、俺は及び腰すぎて情けない。
ていうか、ヘッドが腰撫でてくるのはちょっとしたハラスメントじゃねぇのかなぁ。
いや、いやじゃねぇんだ。ぜんぜん、いやじゃない。
「そうと決まれば、いってくるねぇ。生徒会のみなさーん」
って、俺からおりて、俺の手を引っ張る。
俺も立ち上がって、引っ張られるまま生徒会室の外に出る。
デートか。
深い意味はないんだろうな…