後輩が居なくなってから暫くして、ガルディオ先輩が溜息をついた。
「しっかし、あれだねぇ…国の存亡がかかってるのに、呑気なもんだよねぇ」
「なんでしたっけ、闇に呑まれて存在できなくなる、でしたっけ?」
後輩の話…というか、この世界にきてすぐ俺を発見した後輩と一緒にいたお取り巻き曰く、国がある場所から少しずつ消えていっているのだという。
そりゃあ恐ろしい話だな。とは思うが、実際そこに居るわけでない俺には実感がない。
「あの国の場合、固定してある大型召喚ゲートを回収することから始めて、召喚のし過ぎでねじれた空間軸を…って、いっても、この世界の理論じゃないからねぇ…いったところで理解はされないから…」
先輩は組んでいた腕をといて、わざとらしいくらい肩をおとして、もう一度溜息をつく。
先輩にしても他人事であるはずであるそれについて、先輩は思うところあったらしい。というか、あれ?先輩。なんだか、とっても専門的なこといってませんか。
「ええと…先輩は、解決法をしっているけど、教えたところで理解されないから、神がかり的な力にたよってどうにかしようとしてる後輩に何もいえない、的な?」
「んー…再三いってみたけど、無理でした。的な?俺もさすがに、国が一つ無くなるとかなるとほら、びびって言ってやら無きゃなっていうね。この世界にはこの世界のルールがあるから、俺の理論が全部正しいかっていうと、そうではないから、こっちの専門家と話しながら、どうにかこうにか照らし合わせて答えを求める。のが、いいんだけど」
「じゃあ、サモナーになって、って考えは無かったんですか?」
先輩が笑う。にっこりと、優しいくらいの微笑みだった。
「俺、サモンからテイムへの転科なんだよねー」
一度は、サモナーになろうとしたってことだ。
「正直、こっちの世界来たのは、召喚技術を伝えるため、だと思ってたんだけど。結局、それは俺の仕事じゃなかった。ってのが、こっちの技術学んでの回答だったわけで」
それは、先輩の持ってる知識がダメだった。という理由ではなく、こちらの召喚術というやつと考え方が違った。という話らしい。
「こちらの召喚術は半分奇跡で、半分学問って感じかな。俺のとこは完全に学問。ある程度のルールに従えば必ず発動して当たり前のものだから」
俺はその『ある程度のルールに従えば必ず発動して当たり前のもの』というものに、思い当たるものがあった。
テイムだ。
どうやって動物をテイムするかということを学び始める前にいわれることと同じだ。
「あ、ピンときたって顔だね?そうだよ、それを聞いて、俺はここに転科することにしたんだ」
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