やっぱあれだよね。
盗んだバイクで走りだしちゃったり、誰にも縛られたくないとかいっちゃったり、学校の窓ガラスわっちゃったり、今だけはやさしい歌ききたくなかったりとか、ってこれは違うか。でもそれ、無免許ですよとか、根性なんて焼かなくていいとか!そんな世界なんだよね!たぶんね!きっとね!そうね!だいたいね!
思ってることの半分もいえない大和撫子ってこれも違うっつか、もう男は背中で語ってなんぼとか漢らしい俺。
今、すげぇピンチです。
俺ぴーんち!
超ぴーんち!
漢らしいとかもう撤回していいからさ!今すぐ、いーまーすーぐー助けてくらさい!!
神様仏様俺の心友・右手…違う違うエロい人はいったたまには左手もってそれも違うくって、雄成(ゆうせい)サマァ!!
俺の童貞じゃなくて、バックバージンがハゲるくらいピンチです。
ハゲないけど!
なんですかね。事の起こりはあれですよ。
健康だけが取り柄なおっとこ前な俺がですね、『えっちしてぇ』ていったことなんですがね。
そりゃあ、俺は立派なディーティー野郎ですよ!高校☆デビューとしゃれこんで、髪の色染めて、これで彼女とかできたらいいなとか頑張ってます。チェリー坊主です。みたいな。そんな感じで性春にも興味ある多感なお年頃とかそんな奴ですよ。
もちろん、えっちだってしたいわけですよ。
可愛い女の子と!可愛い女の子と!これ、すげー大事!これ、すげー大事!!テストにでるくらい大事!蛍光ペンで強調して、どこが大事か分からなくなった教科書ぐらいの大事さ!
で。
なんで。なんでなーんーで〜。
俺は、胸もない、可愛くない、余分なものついてる、腹に肉はついてないしスタイルはいいだろうけど、やわらかくないしくびれとかないつーかもう顔とか直視できない怖い人に馬乗りにされてるんですか。
救いは、そ、そんなに頑張らなくていいだろ!ってくらいピアスがついてたりしないこととか、制服の裏とかに刺繍ないとか、髪の色染めてるけど金だからまだいけるとか、怖い面だけど、まぁ、かっこいいんじゃないとかそれくらいのもんで。
なんかもう噂の不良の一人とか、結構っつかこの辺じゃ敵はいないぜ、み・あみーご。とか。そういうの。そう、そういうの。
すんげーマジぱねぇ怖いわけですよ!
俺、もう、いきがったりしません!漢前とか嘘つきません!
だからっ
割と真剣に、あ、俺おまえでもいけるわみたいなかんじやめてくらさい!
鼻水が目からでちゃうから!鼻から涙も出ちゃうから!俺ってば詩人!
えっちしてぇって言葉をきいて、イライラしたから犯った。反省はしているが後悔はしていないとか言わないで。いやまだいわれてないけど!
「ビビんな」
無理。
むーりーでぇーすぅーッ!
無理強いいくない!ダメ、絶対!
もう俺のディーティーとか妖精とか魔法使いシャランラ☆とか、そういうの飛び越して大人の階段のぼっちまうようっかりで!はちべえよりうっかり!となりかけた時だった。
どん!がさっ!
って音がして、いいかんじに生えてる木を抜けて、救世主が出てきたのは。
「……アレ?サクヤ何してるの?」
いやいやいやいや、それ、俺が聞きたいくらいだよね。なんで植木から出てくんの?
いや、このさいどうだっていいよ。
「たす、たすけて、ユーセェエェー…」
俺の親友様は、俺と俺に乗っかってる人を何度も何度も見比べて抜かした。
「プロレスごっこ?」
はい、わんつーすりーかんかんかーん。
ちがーう!!雄成ちがーう!俺の戦後最大級のピンチなんだよ。戦ってないけどな!戦う前からダイビングスライディング土下座だ!!
「あ?…あぁ、そうそう」
ちょ、ICカードよりスルッと嘘つくなよ!しかもおざなりに!
「え、楽しそう」
きらきらしてる親友。
おまえ、怖いもん知らないよな。
「まぜて!」
さんぴーとか!
大人の階段じゃなくてエスカレーターでしたかぁあぁああああ!
3Dの友達とかじゃないんだからやめてぇーッ
「ああ」
頷くな、ちゅーか俺のヘルプミーを無視しないで、しんゆーう!
「やめてやれよ、アキラ」
と、至極まっとうですがやったらドス利いた声に聞こえる声で俺を本当に助けてくれたのは、まさに、み・あみーご。この辺じゃ敵はいないアキラ氏と悪名を広げ回る男、京一(きょういち)さんでした。
こえぇよ!アキラ氏よりましだけど純粋にこえぇよ!
「チッ」
あの、すごく舌打ちされました。この虫けらがって様子で。鼻水マジで出た。やべ。
「覚えてろ?」
イイエ、忘れます。