seventh count


俺の靴箱は一向に綺麗にならなかった。
日に日にひどくなっていく靴箱。
それだけではなく机までひどいことになり始めた。
落書きだけならまだしも、彫刻刀で刻むとか、カッター刺さったままだとか、机の中にカミソリの刃だとか。
クラスの連中には、最近の人間はすごいねー、何したの七井くんと尋ねられる始末だ。
机の原状回復は諦めて、そのままにし、普段はロッカーの上で横になるという大胆な方法で過ごしているのだが、先生方にはすこぶる不評だ。
臭うもの以外は、いつまでたっても片付けられずそのままである机は、ハサミがささったり、花がいけられたりと個性を輝かせ始めていた。
そんな状況になっても、クラスでカリカリしているのは基久くらいで、このクラスに慣れている先生方はそういうこともあるだろうな、これやった生徒勇気あるなぁ…と傍観の姿勢だ。
「なんで放って置くんだ」
「いや、なんか頑張ってくれてるし?相手にしてないのわかってもらいたいし?つうか、めんどうだし…」
「最後が本音だな?せめて花は片付けろ!花粉が最悪なんだよ!」
基久はライカンでありながら、花粉症である。
毎年、春になると自然いっぱいの実家から逃げるようにして、どこかをふらつき回る。
「いやぁ…カサブランカだぞ?いい花じゃねぇか」
「花粉が散ってくるんだっつうの」
俺が何かされていることより、花粉に憤慨しているように思う。
一番憤慨しているのは、やられている張本人よりもコウシだ。
まだ地震は起こしていないが、やたら変な場所に穴ができているという情報を学校の庭を管理しているガーデニング部から聞いた。
ガーデニング部にはクラスの人間が所属しており、コウシをなんとかして欲しいと俺に依頼がきている。
俺はコウシをなだめるために、部屋で余計にコウシを構うこととなった。
「そうやって呑気に構えてると、今に呼び出されるぞ」
「呼び出されてどうこうすると思うのか、俺が」
「呼び出した相手がかわいそうだろうが!」
基久の言うとおりだ。
流石に、イライラしたコウシが俺に過剰に色々迫ってくるので、実は編入初日からろくろく眠れていないとか、化物なだけに体力だけはあるため眠っていなくても平気といえば平気なのだが、流石に俺も疲れている。
疲れると余計なことにイライラし始める。
「八つ当たりするにはちょうどだろ」
「呼び出されたいのか…」
ちょっと諦めたような表情で俺を見た基久が可愛そうだなどとは思わない。
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