渋谷の好きなもの。
窓際の席、屋上、携帯。
ぶっちゃけそれくらいしかわからない。
渋谷、なぞの男。
隣の席の渋谷くん。2
携帯は真っ赤なボディで、いつも机の上で悠々としている。
ピンクの光が点滅すると授業中でも携帯を手に取る。
つまるところ、それだけメール相手が好きってこと。
俺失恋。
ある時、メールを見てすぐ窓をあけた。
外には誰かいて、授業中にもかかわらずうれしそうに出ていった。
俺、超失恋。
そいつにべたべたくっついて離れようとしないどころか離そうとすればしょんぼりする。
気のせいか尻尾と耳が見える。
俺、マジ失恋。
「なぁー渋谷とおんの、誰ぇー?」
「あー!夏井さんだよ。しんねぇの!」
有名人らしいけど、俺は興味ないことは目もくれない。
「あは」
と言ってごまかした。
あ、渋谷の好きなものに夏井さんも足さなきゃな。