お気に入りのヘアアクセ。
星とか花とかついたヘアピン、目に痛い色のボンボン、女の子が最近やたらくれるシュシュ。


隣の席の渋谷くん。6


頭悪いってよく言われるけど、そうでもない。
たぶん。
放課後、女の子がうちのクラスにやってきた。
男と違って柔い。いつもなんか甘い匂いする。
作り自体が違うんだよねー知ってる。
俺のそばにくる女の子は、だいたい俺の髪を触りたがる。サラサラーだとか、何で痛んでないのにきれいにそまってんのーとか。
そんで俺の髪をいじり放題。
や、俺、染めてないよ。天然で薄い色なだけ。
そんなできゃあきゃあいってると、渋谷がきた。
渋谷がくると、女の子の一部はいつも渋谷に一緒にカラオケいこっとか、ご飯食べいこっとか誘う。
渋谷は決まって、嫌そうな顔して女の子を軽くあしらうだけ。
俺は女の子も好きだけど、やっぱり渋谷も大好きなわけで、ついつい、茶化してしまう。
「いややわ、ミエちゃん浮気ィ〜」
そうすると渋谷はさらに不機嫌になって一人で帰る。女の子は俺のせいで渋谷が帰ったように言う。
俺はへらへら笑いながら謝る。
うん、ごめんね。だって渋谷は俺みたいのに寄ってくる子好きじゃないと思うけど、やっぱそれでも、可能性はつぶしたいし。
俺超心狭い。
可能性からいったら、俺のほうがないのにね。
今日の俺、ちょっとだけおセンチ。
next/ 方向音痴と隣の席top