昼飯は風紀の結局、しゅうちゃんと風紀の連中で食った。
例のステージに参加していたのは、たまたま見回りで通りがかった十夜と恭治がステージに引っ張られていっただけなのだそうだ。
そして、見回りついでに屋台で昼飯を買っていたらしい。行く屋台行く屋台で渡された大量の昼飯を風紀委員見回り班本部に連れていかれ、俺を含めた五人で食うことになったのだ。
「あ、そー思えば、皐とか晃二は?」
昼飯を心ゆくまでくった俺は、十夜に尋ねた。風紀連中とよく一緒にいる皐がいないのは何か不思議だ。飯に目が眩んで気がついていなかったんだけど。
「皐ッスか?那須とデートだそうですよ」
さらっと十夜がいった。
デートかーへぇデートか…って!
「デェートォオ!?」
「愛人だし不思議はないっしょ、すけちゃん」
しゅうちゃんは何気ない様子でたこ焼きを食べる。まだ、胃にものが入るのか、しゅうちゃん。そりゃ、成長もするよ。
「つーか、愛人ての前も聞いたことあるようなきがするけど、なんか違うくね?ていうか、愛人?」
もう、意味が解らない。
晃二はいつも俺を驚かせる。
本人から何か聞くことはあまりない。でも、いつも人から聞く話がぶっとんでいる。
「説明してませんでしたっけ?」
遼までが不思議そうに俺を見る。
「されてねぇ!」
「まぁ、説明といっても詳しいことは、皐が怒るんでできないんですが」
遼ですら!?
前、十夜も皐が怒るからとかいう理由で、本人にきいてくれとかいってなかったか?いや、愛人とかの話ではなかったと思うけど!
「皐は、那須の愛人で、那須にベタ惚れなんです」
「へぇ…って、おい!なんじゃそりゃ!」
もう、どっかのラフな刑事もびっくりするほど俺は叫んでしまった。
いや、やたらさ、皐は晃二にベタベタしてるなとはおもってたんだ。思ってたんだが。
「すげぇ。近くに、男好きなやついたんだ…」
なんか、十夜が複雑そうな顔をしたのはこの際おいておく。
恭治がケラケラと笑って、頷いた。
「ばればれっしょ、さっちゃんは〜。あれだけ態度でてるし。すけちゃんそーちょー相変わらずにぶにぶ〜」
なんかムカついたので、恭治のデザートのタイヤキを一個奪ってやった。
確かに、皐は晃二にすごくベタベタしていた。
だけど、俺にもすごくベタベタしてくるし、ソレが普通だと思っていた。
「総長は、猪突猛進ですし、一つのことに着眼するとまわりがみえてませんから…皐がどんなに暗雲垂れ込めても、気がつかないことが多いですしね」
俺が晃二にたいした行動によって解りやすく嫉妬とかもしていたらしいんだが、俺は知らなかった。
ああ、やっぱ、周りはちゃんとみないとなぁ。
ここにきたばっかりのとき、ここで友達つくっとかねぇと!という気持ちから、やたら晃二につきまとっちまったし。友達になるってそういうことじゃねぇって気がついたのは、名前聞いて、時間たってからだ。だって、俺が何もしてなくても、友達とかいわなくても、何となく一緒にいてくれる奴はいてくれる。
それこそ、尚とかしゅうちゃんとか、天の連中もそうだし、恭治、十夜、遼、皐だって、何もいわないけど友達…だと思う。
反省はしてるつもりなんだけど、いっつも同じことをしてしまう。自分が通らなければ勢い任せて酷いこともいってしまうけど、思い出すのはいつも遅い。
なんだか皐に申し訳ない。や、他にも何かごめんなさいというきもちもあるけれど、とにかく今は皐にごめんなさいだ。
そんなことを思って唐突に、皐すまん。とメールしたら、皐はデート中だろうに即、返事をくれた。
返信はこうだ。
『何か失敗?』
俺、そんなに失敗とかしてんのかなぁ…。