生徒会がバタバタしてもしなくても、体育祭はやってくる…。
そんなわけで、早くも体育祭、当日なわけだ。
篠原少年は毎日頑張って、競技内容を知ろうと必死になって、お礼のダンスに選ばれた人間はその練習に必死になる。
強制参加の生徒会と風紀もそうで、夏休みにやってない分スパルタでやらされたりとかするわけだ。
そんな中、文化祭も11月にあるわけで。
そうなると体育祭と文化祭の準備にバタバタバタバタしなけりゃならないわけだ。
実行委員会はもちろん、分けて作ってあるし、文化祭の担当と体育祭の担当は生徒会、風紀共に分けてある。もちろん用事があったりしたら臨機応変にお手伝いいたしますがね。
そうそう、白鴬学園の選抜隊も3日前くらいから滞在してくれているわけで。
お客様をもてなすのは旧生徒会役員…といっても、元会長と元副会長だけなわけだが。
その二人を中心に、選ばれた生徒達が対応をしてくれている。
というわけで、筋肉痛にひーひーいったり、ベッドに転がり起き上がれないといったら引きずられたりして、体育祭前日にお休みもらってバタッと倒れるように寝て、気がついたら当日でした。
いやぁ去年も使われたから、知らないわけじゃなかったけど。
まぁ、とにかく、当日なわけだ。
俺は白組リーダーの証である白い学ランを着て、運動場の端で拡声器を持っている。
運動場中心の壇上にいるのは赤組リーダーの証、赤いツナギを着たさっちゃんで、こちらはマイクを持っている。
逆の端には青組リーダーの証、青い特攻服を着た水城がいて、俺と同じように拡声器をもっている。
「宣誓!」
さっちゃんの声が響く。
心の中で1、2…と数えて、俺と水城とさっちゃんは声をあげる。
『我々、「赤組」「白組」「青組」一同は、正々堂々、戦い抜くことを誓います!』
高らかに宣言すると、まずは赤組のさっちゃんが吼える。
「赤!勝利!優勝!ぶちのめせ、白、青!」
やだ、マイク切っての宣言。かっこよすぎだろ、さっちゃん。
場内の赤組野郎どもは雄たけびを上げた。
いやー俺負けそうだわ〜。
「勝利を我が手に!勝つのは青組!」
水城の宣言と同じように、叫ぶ青組面々。
あ、ちなみに、この勝利宣言は、じゃんけんで順番を決めました。
トリとか責任重大ですよ。とほほ。
「克つ、且つ、勝つ!最後に立つのは白!」
俺の宣言に白組は、片足を鳴らす。
去年もやったけど、これだけでもう、やる気がぜんぜんちがうのよね。始まったーって感じ。
この宣誓が終わったあとは、プログラムの確認の放送が流れる。
開会式
120m走(全学年)
パン喰い競争(一年,来賓参加)
メアリ(二年)
ダウトを探せ!(三年,来賓参加)
アドルフに告ぐ(二年)
綱引き(一年)
昼休み
白鴬学園よりの応援
白鴬への礼
パンドラの箱(三年,来賓参加)
竹取物語(一年)
1抜け(三年)
俺の屍を越えて行け(二年)
三色対抗リレー
閉会式
来賓参加ってのは、来賓客とか白鴬学園の人たちとか保護者とかの参加を募ってるわけだ。
ダウトを探せ!はその名の通り、嘘を探す競技で、来賓の方と一緒に相手方がついている嘘を探す。
どんな嘘をつくかは自由。だいたいは誰が何を持っているか。とか、それは誰が持っているかとかを説明する奴が嘘をつくというやつなんだけど。
参加人数はもともと少ない。嘘をつく奴と見抜く奴は別で、来賓からの募集も少ないのだ。
もう一つの来賓参加競技のパンドラの箱は、やっぱり、その名の通りパンドラの箱が用意される。
その中にはありとあらゆる借り物が書かれた紙があって…まぁ、所謂借り物競争なわけね。
これはけっこうな人数募集してる。
三年生の競技は始終こんな調子で、運動!ってかんじがあまりしない競技ばかりだ。…というのも、受験勉強があるから、あまり練習に時間を割きたくないというのもあるらしい。
1抜けも例外ではない。
1抜けは競技に参加する連中がこぞって『1抜け』を狙うという競技で、勝者は一人という過酷な競技でもある。これも借り物競争に似ていて、何か書かれた紙がばら撒かれ、それに書かれた指示に従わなければならない。これが結構な無茶ぶり。1抜けがなかなかでないため、制限時間が用意されている。
ということで、三年の競技はある意味色物ぞろい。
その代わりといってはなんだけど、二年は身体を使わなければ許されないといわんばかりの競技が揃う。
メアリは、さっちゃんが総長少年にいっていたように振り回す競技だ。
なにを振り回すって?四人ほどの人間を振り回すんだよ。
といっても、足を持って振り回すとかそういうんじゃなくて。
四人一組になって棒を持って走っていく。
それを待っていた一人が棒の端をもって、軸になって四人を半円振り回し、手を放す。
まぁ、一人を軸としてくるっと回ってもとの位置に戻ってくるってだけなんだけど。
そのあと、端と端の人が棒をもって地面すれすれに列の一度後ろまで持っていく、並んでた奴はそれを飛んでしゃがむ。その上をまた棒が通って、次の四人にタッチ。というのをアンカーの組までやるわけね。
…正直、しんどいよ。
俺も、振り回す役だよ。もっとあるだろうに…。
アドルフに告ぐ!も辛い競技。なんか、二年生に恨みでもあるのだろうか…。
『アドルフに、告ぐ!』といって、アドルフ役をしている先生方の所まで走っていく。先生がいる場所まではちょっとした障害物が用意されている。所謂障害物競走。でも、先生がいる場所までたどりつくと、何か一文字〜三文字書いた紙を渡す。
最後にアドルフに告げたい言葉が完成する、と。
そういう競技。
で、アンカーです。
どうしてアンカーなんですか…。
あと、一つ、俺の屍を越えていけは、騎馬戦。うん、俺が騎馬のうえにのるらしいよ…。
一年の競技は、まぁ、競技名そのまま。
唯一変わっている競技名である竹取物語も、竹の奪い合いだしねぇ。
あ、そうそう。一番の盛り上がりを見せるトリの競技三色対抗リレーもあった。
これは全学年から選抜ってことで、人がきまってるわけだけど。赤白青のリーダーは強制参加が決まっている。
リーダーはアンカーにならなければならない。というルールはない。ないが、どうしても毎年リーダーがアンカーみたいな形になる。
これは当日、その競技まで、どの組み合わせでくるかというのは秘密にされている。
まぁ、俺はアンカーなわけですが…。多数決で…。
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