そんな、プログラムみるだけでつかれたよといいたくなる体育祭が始まったわけだ。
「…晃二、写真」
「さっちゃん、いきなりそれなの?」
体育祭では、三色リーダーは始終学ラン、ツナギ、特攻服をきているわけで、目立つ上に写真もよく撮られる。
でも、いきなりさっちゃんが携帯もってやってくることじゃないと思うよ。たぶん、兄上が問題なく写真撮ってると思うから。写真部もたぶん頑張ってるから。
「一緒に」
「笑顔で?」
「にらみを、…利かせて」
というリクエストによって、さっちゃんと俺は開始早々からヤンキー座りでカメラにガンつけて撮影してたら、やっぱり人は集まってくるんですね。何人かに写真を撮られました。
走らなきゃならないからといって、途中で撮影会中止しましたが。
ここで、水城氏がいたら、完璧なヤンキー会談だったのにな、残念。
まぁ、走りに…120m走にいったわけだが。
この120m走ってやつがまたおざなりで。
人数多いだけに、次々に走らせる。三分の二走りぬいたら次の組が走ってくる恐怖の120mなわけだ。
もう、ピストルの音が何回も響くよ。
耳が痛いねぇ。
俺ですか?もう一人一位爆走でしたよ。ええ、伊達に鬼ごっこしてませんでしたよ。はっは。
しかも、ライバルとなる奴は俺の組にはいませんでしたしね!
心得たもので、一番最初の競技は出し惜しみをしているのか、これはやばい!という組み合わせで走らせたりはしない。
そして、どの組も同じくらい点数を稼げるように組み合わせている。
あとは本人の頑張り次第…みたいな。
そんなわけで、それなりに時間はかかるけど、さくさく走っておわった、120m走。
パン喰い競争にはキョウちゃんと少年が出てるわけだが。
面白いことに、キョウちゃんと少年は同じ組み合わせで戦うらしい。わーキョウちゃん白だから、キョウちゃん応援しよう。
「がんばれキョウちゃん〜!」
リーダーが持たされる大きな旗をふってやると、キョウちゃんは俺に敬礼してくれた。
「総長、…がんばれ」
あ、そう思えば、少年は赤だったね。
まぁ、そうでなくとも応援しただろうね、さっちゃんはね。
「どっちもがんばれ」
って、水城がやる気なさそうに応援していた。ああ、どうせなら青組応援してあげて!
で、このパン喰い競争。どうなったかというと…まぁ、ぐにゃぐにゃへにゃへにゃのキョウちゃんは、敬礼したわりにやる気はなくてダルダルと走ってくれてねー…。少年はやる気で、さっとはしって、すばらしい跳躍力でパンを口に咥え…たはよかったんだけど、ハバネロ入りカレーパンだったらしくて悶絶。他の走者もハバネロ入りカレーパン。
ていうか、この組はカレーパンしか用意してなかったらしい。
最後にダルダルと走ってきたキョウちゃんのみが普通のカレーパンにあたってね…。
なんだろうね、勝ったけど、負けたみたいな。そんな雰囲気あったよ。
まぁ、これの一番は少年だったわけだけど。
「すけちゃんそーちょーこれ、おいしいねぇ」
「かれー!ありえねー!」
って、わいわいお話になっていたよ。
次の競技に行かなければならなかったから、特に最後まではちゃんと見てなかったけど、ちょっと赤がリードしたみたい。少年、よかったねぇ。






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