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昼休憩終わって少し。 はくおう学園ってとこの激励だかなんだかが始まる。 先頭になんかすげー美形…この学校も顔でえらんでんじゃねぇの?って思ってたけど、このはくおう学園ってとこの集団には負ける感じだ。とにかく、美形の集団の中でも一番美形なやつが先頭に立って、黒い長ランを翻す。 長ランとか短ランってさー、やっぱ一度はやってみたいとおもうんだよなー。やってたけど。前の高校で長ランやってたけど。 でも、俺が着ると長ランにあわなくて、総長は短ランのがいいっすよってよく言われてた。 ていうかいつの時代っすか、普段はきないでしょ、それ。って言われてた。うう…ダメなのか? 「我らの親しき友の招待に感謝を示して」 すげー美形の奴が一声かけると、美形集団は感謝を示して!と一声上げ、いっせいに動く。 三三七拍子で動くそれは、まったくずれない。 黒い学ラン、白い手袋、白い鉢巻という応援団といったスタイルが、それをより良く見せているようだった。 このあと、敬意と応援、各組応援をしたあと、その一番美形がふと何かを見て、笑ったように見えた。 満面というわけじゃなかった。視線だけが、不意に嬉しそうに笑った…ようにみえた。実際のところは俺は良く解らない。 なんとなく視線の先を辿ったけれど、その先は見当たらなかった。 なんだか義務というか、機械的にも見えたその美形がすごく、すごく、近くにいるように思えた。気のせいだろうけど。 「あー!伊周笑った!!」 すげえ、大声で近くから誰かが叫んだ。 あれってやっぱ笑ってたのか…てかよくわかったな、そんなことつか…笑うだろ、人間だから。そんな、珍獣みたいな言い方。 と思って、声がした方を見て、俺は声が出なかった。 なんか、すごく、見慣れた格好の奴が…いる…! 衝撃だった。 もさっとしたヅラ。 何処で売ってるかわかんねぇ便底の眼鏡。 3日で消えた俺そのもの。 気のせいだと思うけど背丈も似てた。 うわああ、俺もあんなだったのか。 近くにいた誰かが困ったようにそいつを引っ張った。 「んだよ、俺といるときちっとも笑わないんだぜ!」 お前のこと嫌いなんじゃねぇの。なんとなく思いながら、耳に入ってくる大声に不快感を覚える。 って、俺も、『ちょとつもーしん』してるときはあんななんだよなぁ、たぶん…うわああ、やばい、俺やばい。これは、かなり、やばい。 何処か隠れたい。 俺がそんな思いで項垂れたせいなのか、動きがあったせいなのか。 そいつは俺に気がついた。 近づいてきて、キラキラした目をしてるんだろうと思う…眼鏡でわからない…が俺にこういった。 「あんた、綺麗な目してんな!」 「ちょ、いいかげんにしなよ」 誰かがなんとかそいつを納めようと引っ張る手をさらに強めた。 「なぁ、名前なんてんだ!あ、俺、コウキ!佐伯光輝!」 ぼーっとしていると、そいつは勝手に自己紹介を始めた。 ああ、うん、身に覚えアル…。ちょ、マジ、何処か隠れたい。 「なぁ、名前は!」 「彼は、タナカヨシヒサだよ、あんだすたーん?」 いや、俺、タナカヨシヒサじゃねぇよ。といえないくらい、俺は身動き取れない状態だった。自分がこれと同じことしてたんだよなぁ…と思うと、ほんとに、凹んだ。 なんで、あんなことやってたんだ。マジで、晃二ごめん。 俺をタナカにしてくれたシュウちゃんはにこにこしながら、サエキコウキの相手をつづけた。 「君、白鴬の子だよね?いいの?みんな帰ってるよ、自分の席に」 「わ、マジィ!勝手に出てきたんだよ!」 「はは。そっか、早く戻ったほうがイイヨ」 シュウちゃんは心なしか、いつもと調子が違う。 にこにこと手を振って、見送りつつ聞かれた名前には『スズキトモノリだよ』と答えていた。 どうでもいいけど、良くそんな名前でてきたなぁ。 「シュウちゃん、サンキュ」 「おーいいってことよ。今度A定な」 ちゃっかりしてるが、マジ助かった。 「おけ。それにしても…なんか、もう、ごめんなさい」 「いやいや、すけちゃんはあそこまでじゃないし?イノシシになってるときのみだから」 「でも…うん、頑張る」 「オケ。がんば」 軽く、ポンと肩を叩かれた。 シュウちゃんありがとう。なんだかんだ、いい奴だよ、おまえ、本当。 どっかで誰かが、またなー!とか言ってる気がするけど、気にしない! いや、もう、本当すみません…。 next/ 二人の変装top |