そーんなわけで、あっという間に午前の競技っておわっちゃうわけよねー。
結果的には計算どおり。
赤と青が抜いたり抜かれたり。ていうか、ダウトを探せの兄上ったらすごいのよ。言い訳全部聞く前に、嘘ついてる人口上途中でだよ『ダウト』とかいっちゃってさー…いや、これが、的中。
まずね、嘘つこうとしている側に凄い威圧感で責め立てて、嘘をつきにくい状況を作ってるってこともあるけど。
一回目がそれじゃ、二回目もなんとかしようというチームの心折っちゃうよね。皆がんばったんだけどね…。
で、アドルフに告ぐは、横並びに持って行きました。遼ちゃんが舌打ちしてたけど、知らない知らない。
綱引きはハルルンが頑張ってくれて、白、取らせていただきましたー。これで、挽回です。
でも、まだ、白負けてんだよねー。はっは。でも、大差はない。
そんなわけで、今は昼休み。
ゆっくりお昼…は無理なんだよねー。
いつぞやと同じようにサンドイッチかじりながら、今日の踊りの最終チェック。
何故か衣装も変わっておりますよん。
「いやぁ…二人とも似合うねぇ」
「いや、お前、そのツナギどうしたよ。あと、皐も」
「人気者だから」
「…晃二、競技でてる、間…書かれた」
クラスの連中に激励なのか貶しなのかはわからないけれど、マジックペンで色々かかれました。つか、この量、クラスの連中どころじゃないね。
それを黙ってみているどころか一番目立つところに大胆に灰谷皐って書いた人が言うことじゃないよ。はっは。所有物には名前をきっちり名前をってか。
というわけで、仕返しにさっちゃんの頬に水性ペンで那須晃二って書いてあげました。あれ、なかなか落ちないから。
ニヤニヤしておられました。さっちゃん、その顔で外でちゃめーよ。っていっておいたから、今は普通ですが。
そんなわけで、俺とさっちゃんと水城は緑のツナギを着用中。
これが衣装なんだよねー。
下には真っ黒なシャツかタンクトップなんだけど、さっちゃんがタンクトップを、無言で差し出してくれたので、俺は背中がエックスになってるタンクトップです。
さっちゃんは半そで。
十夜は半そで捲ってる。
さっちゃんだけ半そでなのは、ケガとかのせいです。傷が残ってしまいました。やりすぎちゃったねーあのときねー。
「さて、水城は最初で、俺が次、さっちゃんが最後だったよね」
「ああ。タイミング間違えんなよ、二人とも」
「間違えるわけないじゃん、ねーさっちゃん」
「ねー」
「いや、おまえら、かわいくねぇから」
俺のことばに同じように首を傾げて答えてくれるさっちゃん。うん、180超えた男ふたりでやったら、一人のときよりむさくてきもいよね!わかっててやってるから。
「ま、おいといて。水城のほうこそヘマすんなよ」
「当たり前だろ?ヘマなんてするわけがない」
「十夜、負けずぎらい、だから…」
そっか。
俺は頷く。
俺とさっちゃんと十夜の踊りは難しいものじゃない。
最初に十夜が踊る、それと交代に俺が入る、俺と交代にさっちゃんがはいる。
踊っている中に飛び込む目立ちたがり屋みたいなパフォーマンスをするのが俺たち三人。
踊るってほど踊るわけじゃない。
踊って目立つのは踊りを夏休み中も頑張ってた連中。俺らみたいなぽっと出がやるわけじゃない。
そんなわけで、踊りのいいとこが入る前に盛り上げで入るみたいな形なわけだ。
「そー思えば、父兄席にケイさんいたよなー」
「…十夜、プリン、じゃない」
そうそう、何気に水城さんは脱プリンをなされてました。昨日はまだプリンだった気がするんですけどね。
「これ…は…」
「いやーラブラブだよねーいいよねぇ」
「ねぇ」
ふたたび、二人で首を傾げてみたのだけれども、水城から反応はない。視線をそらして照れてるようだある。
普段はおっとこ前なんだけどねーそういうとこが可愛いんだよね。と、口には出しません。どこかのだれかが黒いオーラを出し始め、水城が迷惑そうに俺を睨んでくるので…。
「けい…じょう…さんは、尚を見に来ているだけだろ」
「いやいや、それもあると思うけど?水城のプリン直せるのは一人だけだもんねー」
後輩虐めるのって楽しいよね!
あんまりやりすぎると、さっちゃんに非難されるけど!
鉄より固い幼馴染の結束でね。妬いてもくれるんだけど、判別はつけてるみたい。幼馴染が弱ってきたら助けに入る姿勢だよ。
ははは、俺って意外と立場悪いのよ。知ってるけど。自業自得だけど。
「まぁ、おいといてー。手順の確認もすんだし、待機場所に行って、ゆっくり白鴬ながめようか」
そして俺たちは待機場所へと分かれていった。
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