体育祭は晃二と高雅院雅元会長の同着で、青組優勝。
誰もが、晃二と高雅院元会長の勝負に熱くなった。
そんな体育祭が終わって、すぐ、中間テストに入った。
けど、中間テストに気が入ってるやつなんてそういないと思う。だってさ、すぐに文化祭なんだぜ。
その割には皆結果を出している。
恭治がいうには、お祭りごとを精一杯楽しむために、勉強にも手を抜かない。それがこの学園の特徴なんだって。良く遊び、良く学べ。…そう思えば教室の黒板の上にある額縁の中に納まった言葉だった。
「と、いうわけで、『きゃッ!どき!男だらけの喫茶店。ポロリ無し』の衣装が届きましたー」
「届きましたーって、何コレ」
「提供は風紀委員長であらせられる水城十夜様ご出資の喫茶店『place』からです!皆、風紀委員室に向かって、敬礼!」
だなんて、委員長が言った。
1Dの皆は風紀委員室があるだろう場所に向かっていっせいに敬礼した…ちゃっかり、俺もしてしまった。
「てか、placeって…確かにあそこのふくだけどさ…こんなにたくさん用意できるもんなの?」
「あーすけちゃん総長、ほら、十夜はあんなでも、お金持ちだから〜」
恭治がのんびりと答えてくれた。
なんでも、系統は違うけれど恭治の家とはれるくらいの金持ちなんだって。ふーん。
「まぁ、普通のギャルソン服と大差ないんだけどねぇ…今回はエプロンとスラックスだけ届いたみたい。ワイシャツはがっこの制服でやるんだってー真っ黒だね〜」
そんなわけで、クラス中に配られたエプロンとスラックス。
一応皆その場で着用。
そして教室は真っ黒になる。…髪色以外。
うわ…際立つな、髪の色…。
赤、黒、黄色、緑にピンク、紫、青、銀に金に茶!
カラフルカラフル。
「おーすけちゃん馬子にも衣装だねぇ」
「失礼きわまってるぞ、今田」
孫にも衣装って、おじいちゃんおばあちゃんがすごい喜びそうだよな。なんとなく。違うのか?
「そーちょー解ってないから」
なんか、恭治が微妙なこといった気がするぞ。
「そう思えば、どの学年も今のこの時間衣装配りなんだと」
「あー今日に間に合うように発注してもらったからな」
体育祭の準備の合間に、生徒会役員が文化祭実行委員会の皆とバタバタしてたのを覚えてる。
この衣装の締め切りっていうのもかなり頑張ったらしい。
にしても、なんだ…恭治といい、尚といい、シュウちゃんといい!
似合いすぎなんじゃないの?足なげーよお前ら。憎らしい!
足なんて長いエプロンで隠れるんだけど、それでも長いよお前ら…。
シンプルなだけに、スタイルのよさが解る。
尚とシュウちゃんはわりとしゃんっと立っている。運動をよくすることもあって、シュウちゃんは筋肉もすごい。動くたびに僅かにわかる筋肉の動きがとても綺麗だ。
一方、尚は、人の髪をいじったり切ったりするとき同様、綺麗に背を伸ばし、柔らかく動く。
両方とも、なんだ、かっこいい。
で、恭治。恭治は、ゆるい猫背はそのまま。なんかホストのお店のボーイみたいだ。ボーイも売りです。みたいな。夜の匂いがするけど、かっこいいのは一緒。
で、俺。なんか、エプロン邪魔だなぁとかそんな領域。
この差はなんだ。何か悔しいぞ。
「よかったねぇ、すけちゃんそーちょーメイドとか言い出されなくてー」
……そんな、話もあったのか…。
「メイド見てみたかったけどなぁ」
シュウちゃん、俺はぜったい着ないぞ、そんな服。
「まったく残念だ」
尚は残念って、思ってない顔でそんなことをいう。
からかわれているのは解っているつもりだぞ?
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