Eはよくも悪くも知名度がある。
今年の高等部の一年にねらいを付け、Eのキィとして脅しつけてやれば大人しく売店前のベンチくらいあけてくれる。
俺はそうして寝たふりをしてベンチでメイを待っていた。
メイは俺を発見して何でここに?と驚き、パンを買った後、素早く教室へ戻っていった。
久しぶりにメイを見たというのに、メイがすぐにいなくなってしまったことに俺は意気消沈しながら、街で花井を見かけたらボコろうと決心した。
花井に使われてさえいなければ、メイだって、のんびりしてくれたに違いないのだ。
だが、その日のうちにメイは一年のボスとなり、あっという間に、高等部のボスのお気に入りになったかと思うと、次代ボス指定まで受けてしまった。
俺は、どうすればいいか悩んだ。
メイとの距離がいっこうに縮まらないどころか離れる一方だ。これなら、大人しく後輩をしていればよかった。
どうしても、メイの近くにいけない。
あっという間にメイは学園の有名人になっていった。
ああ、メイが遠い。
あまりの遠さに、授業もさぼって、高等部がよく見える場所からメイを探したり、高等部と敷地がつながっている場所に赴いたりしてしまうのは、仕方ない話だ。
そうやって、メイに会える可能性を高める為にウロウロしていた俺に、やっとのことでチャンスがやってきた。
それは俺にとって不遇な出来事であり、あんまりいい状態でのことではなかったし、いい関係の結び方でもなかったのだが、メイが傍にいるというだけで、俺にとってはラッキーな出来事となってしまった。
俺は本当にバカだ。
この出来事のせいで、メイとの関係が修復されるのが遅れるだなんて、みじんも思っていなかったんだから。