シガのセフレになったのは、シガが中等部二年の時。
つまるところ、体は大人にしか見えねぇけど、どう考えたって俺が悪いことをしている気分になる年齢だった。
俺は、薬で大変なことになっているシガのを何度か手でいかせて、つらそうだななんて思えず、色っぽいなとか思ってしまって元気になってしまって自己嫌悪を覚えてしまう年頃だった。
たとえば同じ年だとか、年上だったら、罪悪感はなかったかも知れないのだが、まさかまさかの年下で、しかも、そういうことにはまったく接してこなかったようで、本当に俺は何という悪いことをしたんだと思ったもんだ。
いや、さすがに、自分でしたことはあるらしいのだが、俺も深くつっこむには罪悪感が勝っていて、他に経験があるかないかなんて聞けなかった。
ふつうに考えたらない方が圧倒的に多いはずなのだが、どうも、まわりのヤンキーどもの童貞卒業は早すぎる。
「田中くん、なに落ち込んでるの?チャンスじゃない」
なんて言ってくれた山田だって、すでに卒業してしまっている。
「いや、チャンスもなにも」
セフレから始まって、いい関係につながった話をあまり耳にしないのだが。
この学園は何かとロマンスが好きだ。
休みでもない限り外に出ないことが敗因らしい。
人の恋愛ごとはとても楽しいイベントなのだ。
「おまえ、外部とは思えないくらいこの学園なじんでないか?」
「うん、俺もそう思うけど。でもなー田中くん結構大胆だよねー。もっとカッコつけようがあったはずなのに」
三年のボスはググって赤飯たかれるくらいには喜ばれた。
だが。
「つっても、手コキしただけだし」
「そこはほら、田中くんの手練手管で」
「つっても、俺も初体験だっつう」
「え」
「は?」
「……Eのメイって、もてたでしょ?」
山田が心底不思議そうな顔をしやがった。
心外だ。
俺はそれなりにもてたが、ちょっとした純情小僧だったのだ。
「もてたし興味もあったが……シガがその、興味あるくらいに現れたもんだから」
俺はヤンキーにしても、ふつうの健康的な男としても、ちょっと遅れてそういうことに興味を持った。
幼なじみに振り回され、ちょっとばかり苦労してしまったせいである。
性に興味をもったあと、シガが現れてくれたせいで、言い寄ってくる女より、シガをおかずに右手を動かすことに忙しかったわけで、つまりはそういうことだ。
だから、今現在、セフレとかいって、なんか、無用に悶々とする事態を自分自身で招いてしまったわけだ。
「田中くんってあれだね……なんかうまくいかないね」
「俺は見ているだけでよかったんだっつう」
「いやでも、手の届く範囲じゃない、今」
「性的なお友達が?」
「そこは、ほら、田中くん。研究して、虜にしちゃえば」
この山田の発言により、俺の童貞は片想いであるのにシガのためにとか、意味の分からん守り方をされ、揚げ句、ありとあらゆるエロ研究が流行った。
特に男同士の。
それで何かに目覚めてしまった奴がいたとかいなかったとか。
とにかく、俺はいらぬ知識を大量に入手し、しかも、練習までさせられることになった。
いや、俺のお初がどうのとかこだわられていたため、そういった玩具ですらつかわなかった訳だ。
無駄にアイスバーなんて食わされたり、腰つきのレクチャーとか、俺ここ気持ちいいとかそういう申告はされたが。
本当に勘弁してくれ。