そんなにがんばってくれた先輩方や、同輩がいたわけだが、俺は結局、しごくこと以外はしなかった。
なんといってもシガの年齢がネックだったし、俺の罪悪感も手伝って、なんとも進展しないセフレともいい難い関係となっていた。
シガは次第に俺に慣れてくれたし、気持ちいいこと自体に拒否はないらしく、積極的になれるわけもない俺をさておいて、抜きたくなったら簡単に頼んでくれた。
途中からはなんかもう、思考が神がかってきて、シガが気持ちいいなら、もういいか。俺はなんかもう部屋か便所でがんばろうという、なかなかそれらしい青春を謳歌して、いろんなやつらに、拝まれるようになった。
ヘタレと罵られることがなかったのは、あんなになつかれてガマンができるなど、正気の沙汰ではないということと、しっかり手はだしているようなものなのだからということらしい。
シガにはうっかり告白も一応してしまった。
「シガ、実は、好きなんだが」
シガは無口であまり俺と話したりしないが、首を傾げて一度頷いただけだった。
わかってもらえてないなというのが、俺の感想。
仕方なく、その日から、欠かさず好きだといっているのだが、欠かさずいってしまうから、よけいにわかってもらえてない気がする。
よかったような、よくなかったような。
そんなこんなで時間ばかりが過ぎていった。
先輩方は俺に吉報を望み、卒業していき、俺は三年生になると同時にめでたくボスへと就任した。
そのころには、シガの片想いとされる会長は高等部の会長となっており、なぜか山田と大恋愛を繰り広げてくれていた。
「山田、もうちょっと静かに恋愛できねぇの」
山田は何故か生徒会会計となっており、会長とめくるめいていた。
「いや、だって、田中くん。俺も会長あんなにかわいいとは思わなくて…」
気がつけばもそもそとドーナツ食ってる会長はとても、山田のツボだったらしい。
うっかり、生徒会ビッグカップルの出来上がりである。
「シガが失恋で可哀想だろうが」
「いや、そこは田中くんがどうにかこうにかしたらいいじゃん。チャンスだよ!仏様やってるところじゃないよ!もう、狼くんも高校生だよ!?」
「いや、もう、なんか、シガが幸せならそれでいいつうか、あいつ、俺のこといい先輩だとしかおもってねぇし」
「確かにそーだけど。ほら、そこから脱却」
「いやぁ…ちょっとふれあいすぎて、シガの貞操がおかしくなってんのはなんとなく…」
「いや、あのね。確かに、そうだとは、そうだとは思うけど!そこを、口八丁手八丁というか、ほら、それこそ、仏やめて陥落させてよ」
俺がセフレとしてうっかり促されるまましごき続けてしまったせいか、シガは気持ちいいことがとても好きになってしまった。
いいわけはしない。
そのうえ、俺がセフレだとかいってしまったせいで、恋人は作り放題だったわけで。
もちろん、ここもいいわけはしない。
シガはあの小動物のようにみえ、その実肉食獣である、野郎どもをとっかえひっかえになってしまっている。
セフレはあくまで、セックスフレンド、友達なわけで、友達を増やしてもよかったはずであるが、セフレは俺だけ。恋人はたくさんという状況になってしまった。
つきあおうといわれたから恋人になっただけで、好きではないというのも現状を悪化させた。
確かに好きあって恋人になるのが理想だが、そんなカップルがいないわけでもない。
しかし、シガの場合は、まったく相手に興味はもてず、未だ会長が好きだという噂なのだから、自棄にも見える。
その会長は山田とめくるめく恋愛中ということなのだから、なおさらだ。
「恋人なんてのは好きじゃなけりゃどうでも一緒、名称は違えどセフレと変わらないみたいな貞操感、俺のせいでうえつけちまったし…」
近づくと離れ難くなってしまった俺は、シガの興味が薄かったのをいいことに色々刷り込んでしまった。
シガが恋人を作ったときに、俺の知らない間にすでに三人目となっていて、じゃあ、セフレは俺だけだなとか言ってしまったのもよくなかった。
「なんでこんな遠くに……」
「田中くんしっかりして!きっとその気がないわけじゃないって!じゃないとセフレ続いてないって!」
「いや、でも、あいつ、他の奴でもしっかり大丈夫なんだろ。男でも大丈夫なんだろ」
「気づいちゃだめだろ、田中くん!」