どうしてこうなった 幼馴染、恋人、友人、後輩、セフレ関係の名称というやつは、俺にとってあまり意味をなさない。意味を知らないわけではないし、俺と他人がどういった関係にあるかという説明をするのなら、それらの名称は必要になる。迷うことなく、名前を当てはめていけた。 しかしそれらが意味するものの優先順位は関係の名称には左右されない。 中等部の時に助けられて以来、俺はメイとセフレになった。それは、今までのどの立場より近く、触れ合う機会が多い。 俺はあの時、思ったのだ。 メイといられるなら、セフレでもいい。 あの時より、俺にとってセフレは何より優先するものだ。そう、適当に頷いて作った恋人などよりよほど大切なものである。 恋人が求めるのならば、そういうものかと手は出そうとしたもののその気になれない。メイの手を思い出すと、他と比べてしまうからだ。 それがわかると、恋人なんて形のものが大切だと思えなくなった。 俺はそれ以来、恋人をつくっていない。しかし、恋人がとっかえひっかえながらいることになっている。 理由は簡単。 俺が、メイとヤるにはどうするのがいいか、襲ってきた小さいのに聞いてしまったからだ。 セフレなのだから、襲えばいいではないかと言う小さいのに、俺はメイにも気持ちよくなって欲しいわけで、俺だけが気持ちよくなりたいわけではないと答えた。 うまくすれば、どの役割を果たしても気持ちいいということは、知らないわけではない。しかし、襲われて受け身になって気持ち良くなるのは、初めてでは難しいのではないだろうか。 俺の説明を聞いた小さいのは、じゃああなたが受け身になればいいとのたまった。 こうして俺の恋人は、俺に受け身が一体どこが気持ちいいかを教えるレッスン相手と化したのだ。 俺の処女は、そんなに言うならその人に貰ってもらいなさい。僕らはあなたにいれてもらうのをお礼としてもらいますからと、そんな理由で、結局、恋人とヤるはめになった。 拡張はその恋人がいないところで、一人ですることになったのは余談だ。 俺は知識を詰めるだけ詰め、夜な夜なコッソリ拡張し、なんともダメな中学生活を送った。 メイが俺に手を出せないのは、歳のせいでもあるんだと思っていたから、高等部にあがるまで待っていたのだ。 俺は入学式おわって早々、ようやく同じ縄張りにはいることになったメイを呼び出し、いつも通りやろうという話をした。 「こういうの、もう止めねぇか」 俺の顔を見て苦笑したメイは、むしゃぶりつきたいほどいい男で、高等部進学早々、心臓が止まりそうになる。 「お前、恋人がいるし、近くに来た分、やっぱこういうのは」 俺の恋人は、レッスン相手だ。今すぐ別れることも可能である。 近くに来た分、それがダメだと言うなら、恋人はやめて貰えばいい。 「何より、俺がセフレはつれぇからなぁ。まさか、進級したくらいでこんなに簡単になるとは……」 今まで、会いたい時にすぐ会うことなどできなかった。漸くできるようになったのに、なにより優先するセフレが切れようとしている。 名称など、飾りだ。 俺にとって、後輩も、敵も、セフレも、メイのためにあった名前で、メイでなければ、その他諸々と同じことである。 メイという特別があるから、セフレは特別だった。恋人はシステムになった。名前なんて大事ではなかった。 それが今更、そんな名前くらいで、メイが俺から離れる。 嫌だった。 なんなら近くにいられるのだろう。友人だろうか、親友だろうか、後輩だろうか、恋人だろうか、家族だろうか。 なんでもいい。メイが遠くなる前に掴んでしまわなければならない。 メイは学園に入る前から遠かった。 俺が初めて見たとき、通りすがりの人で、次はチームの上役、チームからいなくなったらOBで、再び出会うと他人の下っ端だ。 話しかけられずにいたら、何時の間にかまた偉い地位をもっている。同じ学園にいても校舎が違う。漸くセフレに収まって、可愛がってもらえていたというのに、同じ校舎に入れば、やめようなどという。 「シガ?」 いつになれば、何になれば、メイは、俺の近くにいてくれるのだろうか。 「嫌だ」 |