ここのところ、シマが頭を抱えて穴の空いたソファーに座っていることは珍しくない。
一応、長年の付き合いから、どうしたんだと尋ねると、セブンのヘッドがまた余計なことをして、うっかりシマがぶっちぎり、そして、セブンのヘッドを腰が立たなくなってヒーヒーいうまでヤってきたという。
長年の付き合いだからこそ、まったく興味のない友人の情事を、また知ってしまって、俺もため息の一つや二つつきたい気分である。
「実美って、なんでああも馬鹿なんだ……」
「まぁ確かに馬鹿だよなァ……シマが嫉妬するくらいわかりそうなもんだけどなァ?もしかして、解っててやってんの?ワーォー。ビッチィ」
だから、友人の話を真面目にきくのもちょっと前からやめている。そこそこ茶化して遊ぶくらいは許されると思っているから、話を振られるたびに適当に茶化している。
「解っててヤってんなら、もう、脅すぞ」
何をして脅すつもりなのだろう。
俺はあえてそれは聞かないで、サラサラと話を流してしまうことにした。
「ヤダァーシマくんカッコイー。つーか、お前ら、未だにデートもしてないんだろ」
「あー…してねぇけど。つか、お前に言われたくねぇよ。未だによく解らない関係続いてんだろ、メイさんと」
俺は、ようやくいつもどおりソファーでダラダラと横たわり始めた友人にチラッと視線を向ける。
「イーンダヨォー、たぶんそういうはっきりしない関係だから。ズーッと傍にいれればいいわけだしィ?」
今は俺のことよりシマのことである。
本当は犬も食わない痴話喧嘩みたいな情事を繰り返されては困るのだ。
あまりシマが振り切れる回数が多くなると、シマが振り切れるどころか、エスカレートして、実美を社会的に抹消し、どこかに監禁しかねない。
実美がシマに性的に攻略されてしまうほうが先か、シマのどこにあるかわからない精神的な境界線を越えてしまう方が先かと心密かに焦っている。
実美はほぼ、シマに性的に支配されているが、相手がやられて嫌だろうなと人のことを考えるなんてことはほとんどしないため、実美という男の何%かが大変自由であり、その自由さにシマはいつも振り回され、結局ぶっちぎれるのだ。
シマがせめて普通のグレーくらいでいてほしい俺達としては、大変厄介なことだ。
だからといって、今更引き離すのも考えもので、シマは今更離れるくらいなら、実美の意思など無視して手元に置くと言い出すだろう。
シマは実美より、面倒くさい男なのだ。
「まぁ……、今度実美に会って、謝りつつ、ご機嫌とりつつ、したらいいんじゃなァい?」
「そうする」
おとなしい時のシマはやたら俺のいうことを素直にきくから、チョロいもんなのに。