はじめて、志川と喧嘩のようなものをした。
原因は俺が襲われたことについてというものだ。俺はむしろ慰められてもいいくらいの立場なんじゃないだろうか。
だが、志川は俺が襲われたという話を聞き、俺の様子をみて、怒った。いい合いになるような意見の食い違いはない。しかし、睨まれ、無視をしているうちに、翌日になった。
翌日を迎えると、志川が反省する様子のない俺を無視し、顔さえ見なくなったのだ。
そして数日がたっていた。
俺は志川のあのタイミングのいいツッコミがない生活に退屈をもてあましていて、さらには志川にセクハラもできず、ひいては志川不足で枯れそうである。もともとそんなに潤っていなかったような気もするが、気のせいだ。
「会長! 志川さんと喧嘩したってマジすか……!」
そう、志川に避けられて数日もたっている。
俺は志川の周りでチョロチョロしていたヤンキーどもに、同じ事を何度も聞かれていた。
「そうだが」
「だから、志川さん最近よく見かけるんすね……てか、会長謝らないんすか」
これも同じ事を聞かれてしまう。何故か俺が悪いと決めてかかってくる。間違いではないような気もするから悲しいものだ。
そして俺も同じ言葉を何度も繰り返す。
「謝るも何も。このままでも通常に戻るだけだろ」
「あれだけくっついておいて!」
これも同じだ。
それほど、俺は志川をあらゆる場所で見つけては色々なところに連れ込んでいた。いつも話をするか俺がセクハラをするくらいのものなのだが、周りには志川にベタ惚れの俺に見えただろう。まさしくその通りの上に、隠す必要もない。
「何度も同じ事をいわされているが、大体志川は、転校生避けに俺を使っていただけで、ほとぼりが冷めた今は、一緒にいる必要もない。恋人ということにはなっているが、それらしいことは一切していないし、少し親しい友人くらいのものだろう?」
「あ、いや……確かに、志川さん普段と変わりないですけど……会長が、いないし、前みたいに、俺達といるだけで」
このヤンキーどもは毎回煮え切らないという顔で俺の前から去っていく。
ヤンキーどもは志川に世話になっているため、志川の幸せを願っているし、そのために行動することにためらいがない。
だから、一応付き合っていて志川が嫌がっている様子もなかったから、単純なヤンキーどもは恋人と喧嘩をしたなら仲直りすることが幸せだと思って行動している。しかし、俺の回答がこれであるから、肩透かしを食らっているというわけだ。
もともと、志川は人に横からなんだかんだといわれるのは好きではないタイプだし、人に心配をかけるような行いは好まない。そのため、俺と一緒にいることで酷い嫌悪を表すようなことはしなかった。
胃を抱えることはあっても、本気で怒って、嫌がって、俺から離れるということがなかった。
それは、本当に、ちょっとした友人くらいに思っていてくれたのかもしれないし、そうすることで周りの目を誤魔化していたのかもしれない。本当のところは俺にはわからなかった。
「これで終わりか」
一瞬でいいといったのは俺だが、それはひと月ふた月の間のことをいいたかったのではない。
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